人とコーヒーのあたたかさ。薫り立つ裏鎌倉のお店に広がる笑顔。

大船〜江ノ島間の、いわゆる“裏鎌倉ライン”を結ぶ湘南モノレール。その中心ともいえる湘南深沢駅から少し歩いたところにあるのが「imagination COFFEE(イマジネーション・コーヒー)」です。

imagination COFFEEは当初、コーヒー豆の専門店としてオープン。マスターの宝珠山さんが厳選したコーヒー豆を販売し、購入した方へのサービスとしてカップ1杯を提供する……というスタイルでした。このたび認可が下りたので、今後はコーヒー豆販売とドリンクサービスも継続しつつ、カフェとしての本格的な営業も予定しているとのこと。

「話をするのが大好き」。人々が集うお店のルーツは意外にも…

このお店に集まってくる人々は実にさまざま。近所の主婦やゲストハウスの宿泊客もいれば、鎌倉に住むアーティストの方々もしばしば訪ねてくるそうです。また、遠くに引っ越してしまったかつての常連さんが突然フラッとやってきて、以前と同じように豆を買っていくことも。

「お客さまと話をするのが大好きなんです」と宝珠山さん。稲村ヶ崎で生まれ育ち、海のゆったりとしたリズムが体の芯まで沁みわたっているマスターは、つねづね人と関わることが好きでした。

コーヒー店を開こう! という想いは最初からあったわけではなく、どのジャンルでもいいので“専門店”を開きたかったといいます。コーヒーを選んだのは「なんとなく」だったそうですが、ふと思い立った選択肢は思った以上に奥深いものでした。

ひょいと足を踏み入れたコーヒーの世界。研究目的で行っていた飲み歩きの最中、宝珠山さんはキーパーソンと出会います。

いつものようにコーヒーを1杯頼んだ宝珠山さんは、それを飲み終わったあと、店員さんと雑談していました。会話の中で「今度自分のお店を開こうと思う」と話をしていると、1本の電話が掛かってきたのです。

電話の主は、なんとコーヒー屋さんのオーナーさんでした。店員さんはここぞとばかりに宝珠山さんを紹介。するとオーナーさんから「また今度うちにいらっしゃい」とのお返事をもらいました。

宝珠山さんは後日そのコーヒー屋さんを再び訪れ、オーナーさんとご対面。ご厚意でさまざまな種類のコーヒーを試飲し、豆の特徴からドリップの仕方まで、コーヒーのいろはを教わりました。

いまでも“師匠”と呼び慕うほど、そのオーナーさんは宝珠山さんにとっては大きな存在になっています。

オープンに、フラットに。人とコーヒーがもたらすあたたかさ。

「ぼく、ぜんぶ顔に出ちゃうんですよね(笑)だからもう誰にも何も隠さないで、なんでも話をしようって決めてるんです」

宝珠山さんのこうした人柄からか、はじめてのお客さまでも長居していく人が多く、2時間ぐらいはもう当たり前。中には5時間という人もいたそうですが、宝珠山さんはそれでいいんだと話します。

「お客さまが笑顔で帰っていくことが嬉しいんです。もちろん、“このコーヒーおいしいね”って言ってくださるのもすごく嬉しいですよ。そのひと言で一日中ずっとハッピーになれますから」。そう語るマスターの目は、やさしさに溢れていました。

そんなマスターが挙げる湘南の良さは、やはり「人」。もともと湘南に住んでいる人、そしてこの街を選んでやってきた人も、みんなに余裕があり、大らかなのだといいます。

「ちっちゃい頃は七里ガ浜海岸とか稲村ガ崎公園にみんなで遊びに行って、夕陽が暮れたら帰る……っていう日々を過ごしていました。そのときは友達だとか、近所の人たちとも関わり合いがあって、いつも心があったかかったんです」

 

このように話す宝珠山さん。あのときの光景が未だ心のなかで鮮明に残っていて、いまでもその日々を追っている気がする……そうも話していました。

お客さまと向き合うときは、いつも素直な気持ちで。

カウンター越しに柔らかな表情を見せるマスターと、どんなことでも話せてしまう雰囲気に包まれた「imagination COFFEE」。人との出会いに支えられてきた裏鎌倉の小さなお店で、すっきりとした味わいのコーヒーを片手に、ゆったりとした時間を過ごしませんか。

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