捨てられた保護犬を家族に迎えよう! 湘南国際村の譲渡会『特定非営利活動法人 KDP KANAGAWA DOG PROTECTION』。

年間10万頭もの犬や猫が殺処分されている日本。無責任で身勝手な飼い主、猟師、業者が見捨て、保健所や動物保護センターに収容されるケースが後を絶ちません。この現実から目をそらさず、神奈川県動物保護センターから正式な承認を受けて犬の保護活動を行い、平成25年度から3年連続「殺処分ゼロ」に大きく貢献するボランティア団体が湘南・葉山にあります。

動物保護センターの牢屋で怯える犬に光を、保護された犬にあたたかい家族を与え続ける「特定非営利活動法人KDP KANAGAWA DOG PROTECTION」(以下、「KDP」)。テレビ番組「天才!志村どうぶつ園」など、様々なメディアで反響を呼ぶ「KDP」が定期開催する、保護犬の譲渡会に伺ってきました。

ようこそ、『KDP湘南国際村譲渡会』へ! 地元野菜やパン、グッズ販売も楽しめる!

横須賀市と三浦郡葉山町にまたがり、富士山や相模湾が一望できる湘南国際村は、国際会議やセミナーなど様々な人が交流する場所です。湘南国際村センターの入口近く、ファミリーマート向かいの広場にて、毎月第2・4日曜の12~14時に開催される『KDP湘南国際村譲渡会』。今回は、約15頭の保護犬と触れ合うことができました。

譲渡会の会場では、地元農家さんによる野菜直売、地元の人気ベーカリー「Cocco Farm」の手作りパン、「KDP」のオリジナルグッズなどを販売。Tシャツ、ステッカー、「Sセレクション」(葉山)製リードのほか、2018年度カレンダー「RESCUED DOGS」も。グッズの売上金は、すべて施設修繕費、治療費やフード代などに使用されるそうで、筆者も早速カレンダーを購入しました。

  • ▲2018年度KDPカレンダー「RESCUED DOGS」

人に捨てられ、保護センターからやっと出られた子たち。

飼い主による飼育放棄、業者による多頭飼育崩壊のほか、鑑札、注射済票、迷子札などを装着せずに迷子犬になった子たちは、数日から数ヶ月間放浪した後に警察署へと輸送され、そこで数日間を過ごします。動物保護センターに収容された後は不特定多数の犬と過ごし、数日から数ヶ月を経て「KDP」のシェルターにやってきます。

  • ▲ふーちゃん(ミックス)左、ロッテオ(ミックス)右

平塚にある神奈川県動物保護センターの平成27年度統計では、飼い主の都合で引き取った犬が66頭、迷子になり収容した犬が330頭、合計収容数396頭。「KDP」をはじめとする様々なボランティアの努力のもと、神奈川県の黒岩知事から「犬の殺処分ゼロ継続宣言」が出されたものの、センターの中には以前と変わらず多くの犬がいるのだとか。

  • ▲ブリタニー(ブリタニースパニエル、写真左)と娘(ミックス)

  • ▲ 共にビーグルのベベジュン(写真左)とうたまるの2匹

  • ▲海(紀州犬ミックス)

  • ▲みー(ミックス)

家族があってはじめて輝く命。保護犬たちに愛情、優しさ、安心を。

「KDP」のシェルターには現在約50頭(以前は130頭)の保護犬がいます。他のボランティア団体が得意な犬種(小型犬、純血など)と被らないような犬を選んで引き取るそう。元猟犬が多いのにも関わらず、穏やかで、人に慣れている子が多いのに驚きました。

心に深い傷を負い、生死を分けて壮絶な過去を経験した保護犬たち。「もう二度と辛い想いはさせない」と、強い覚悟で家族に迎え入れ、愛情、優しさ、安心を与えてくれる里親との出会いを待っています。

  • ▲ タイゾウ(有色紀州犬)

  • ▲ みゃーみゃー(北海道犬ミックス)

  • ▲ リーリー(ミックス)

  • ▲ ヤック(屋久島犬)

「担当犬は我が子のよう」。保護犬の幸せを願うボランティア。

「KDP」のボランティアスタッフは約20名。毎日の散歩などを手伝う方、イベントを主に担当する方など関わり方は様々。譲渡会のイベントでは同じ犬を担当することが多く、我が子のように愛情が湧くそうです。

「どんな犬でも(何歳であろうと)、適切なトレーニングで犬は“変わる”!」と言うのは、2匹の保護犬と暮らす渋谷由美さん。3~4年かけて良好な関係を築き、今ではトレイルランニングを一緒に楽しむのだとか。ティム・ジェンソンさん(アメリカ・オレゴン州出身)は、小鳥や他の犬に気を遣いながら、野性味溢れる担当犬・ワイルドの動きや気持ちに寄り添っていました。

  • ▲ ヨダさん・右(ポインター)

  • ▲ ワイルド(イングリッシュセター)

幸せいっぱいの卒業生と、里親さんに遭遇!

この譲渡会に1年通い続けて、保護犬を家族に迎え入れた古野裕子さん。ケージを2つ寄付しようと譲渡会に来たのがキッカケで、バウちゃん(ミックス)に出会ったそうです。「家庭犬ではなく、出産経験が幾度かあるようです。怖がりなので、逃げないように気を遣っています。」と古野さん。

家族になって1年以上経つそうですが、今ではきちんとお座り・待てができるなど、愛らしい表情を見せるお利口さん。一緒に色々な所へ遊びに行き、湘南ドッグライフを満喫しているそうです。

「殺処分ゼロ=捨てられる犬ゼロ」を目指して。

「本当の目標は、捨てられる犬がいなくなること、そして『KDP』のシェルターが必要なくなることです」と語るのは、「KDP」スタッフの島田佳代子さん。自身も5頭の保護犬と暮らし、シェルターではボランティアと協力しながら、1日2回ずつ4グループに分けて約50頭の散歩を行っています。その他にも食事、掃除、病院……など、多忙な生活をこなしています。

「“捨てられた保護犬を家族に迎え入れよう”という意識を一般常識のレベルに」というのは、「KDP」代表の菊池英隆さん。「KDP」は神奈川県や企業、獣医師や他の動物保護ボランティア団体などと連携し、「殺処分ゼロ=捨てられる犬ゼロ」に向けて、他県や全国、さらには次世代への確かな軌跡を刻んでいます。

  • ▲ ヒロ・左、シモン・右(共にダックス)

目をそらしてはいけない。みんなが動けば救える命。

まずは、「KDP」湘南国際村譲渡会へ保護犬たちに会いに来ませんか。“人、動物、すべての生き物に優しい社会”の実現に向けて、その第一歩が踏み出せるはずです。

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