湘南の風景に馴染みこむ黄色のキッチンカー。「EAT UP MANIA」
飲食関連の開業スタイルの1つとして人気の高いキッチンカーですが、昨今のコロナ禍の影響でその注目はますます高まっています。「EAT UP MANIA」は、湘南地域を中心に出店をするキッチンカー。その黄色く目立つ外観で、見覚えのある方も多いのではないのでしょうか。
「EAT UP MANIA」が提供するチキンステーキを中心としたメニューは、味はもちろん、ボリュームや見た目の良さも評判。“気さく”な接客も相まって根強いファンを獲得しているとのこと。今回は店主の鈴木亮さんにお話をお伺いしました。
学生時代から考えていたキッチンカーでの独立
静岡県の清水市出身です。大学進学をきっかけに神奈川県にでてきました。将来的に飲食関連の仕事に就きたかったので、飲食に関連する学科のある大学が神奈川県内にあったということもあるのですが、昔から“サザン(オールスターズ)”が好きで、湘南エリアへの憧れ的な影響もありましたね。
実は大学時代から、いつかキッチンカーで独立したいと思っていたんです。私の父や祖父も雇われではなくそれぞれ独立して仕事をしていたということもあり、なんとなく自分も独立して仕事がしたいなと。要は独立志向が高かったんです。
当時キッチンカーはそれほど注目されている訳でもなかったのですが、なんとなくこれから伸びると思ったんです。思いついてから大学の先生方にいろいろ相談してみたのですが、珍しいタイプの生徒だったのか、ものすごく親身に話を聞いてもらえましたね。
店主の鈴木亮さん
独立への自信をつけた成功と恩師の協力
まずは社会経験を積んだほうが良いと思い、大学卒業後は飲食やイベントなどの運営やプロデュースを事業とする都内の会社に就職しました。基本都内の店舗を中心に担当していたのですが、3年目あたりで鎌倉の新店舗を任されたんです。その店舗を軌道に乗せることができたのがこの地域で独立を決心したきっかけになったと思います。地元民と観光客、それぞれのお客さんの違いというか、提供すべきことがなんとなくわかったというか。
就職後約5年で独立することになるんですけど、大学の先生方には実際の出店時にも相談に乗っていただきました、卒業後しばらく経っているにもかかわらず、とても親身に相談に乗っていただけて。大学のキャンパスに出店する機会をいただけたり、本当に感謝しきれないです。
特別な選択ではなく普段の選択肢のひとつにしてもらいたい
提供しているメニューは“チキンステーキ”がメインです。それをご飯に乗せたり、タコスにあわせたり、ブリトーにしたり、座って食べれる場所がない現場も多いので、その場の環境にあわせた食べ方ができるように提供しています。
チキンステーキにした理由は特に無いのですが、強いてあげると贅沢品にしたくなかったんですよね。特別な選択ではなく普段の選択肢のひとつにしてもらいたいみたいな。イベントとかだと多少高額のほうがウケもよかったりするのですが、自分は場所に根付きたいって想いが強いので。
正直変えたい時もあるんですよね、“ここで焼きそばを売ったら売れるだろ”とか、“ここではカレーだろ”とか。ただ、“EAT UP MANIAではこれが食べられる”というイメージを持ってもらいたい、これがあるからってわかってきてくれるお客さんを大事にしたいにしたいという想いがあるので、いまのところメニューを変えるつもりはありません。
単に焼いたチキンを乗せたご飯と侮るなかれ!と言いたくなるくらいの美味しさです。ボリュームも◎
コロナ禍のおかげで、“目指したい”方向性に気が付いた
始める前は、“いろいろな場所に自由に出店できて楽しそう”という、イメージを持っていました。でも、場所探しは苦手と言い切れるほど性に合わなかったですね。あっせん業者に登録したり、ネットとかで調べて電話をかけたり、抽選になることも多いのでバランス良くスケジュールを組むのがとても大変です。特にコロナ禍になってからは、向こう1ヵ月のイベントがまとめて中止になったり、先の予定がすべてリセット…なんてこともありました。
ただ、この状況で逆に見えてきたこともあります。ここ数年はほぼ近隣のエリアのみで出店しているのですが、同じ場所で出店することが多いとリピーターのお客さんが来てくれることがあって、それってすごく嬉しいんですよね。飲食店時代もあるので、リピーターのお客さんの重要性は分かっているつもりだったのですが、自分のモチベーションにも大きく関わってくるということに改めて気付いたんです。
お客さまのリピートは自分への評価の表れでもあるので、“目指すべき”方向性を決める材料になるということもあるのですが、たびたび会話をするようなお客さんが増えると、人の輪のようなものができていくというか、あの人とあの人が知り合いだったとか、時に知り合いの方を紹介していただけたり、逆に自分が紹介することもあったり。そういった輪みたいなものができていくことがすごいモチベーションになるんです。モチベーションの理由を自覚することで、“目指したい”方向性も見えたというか。
なので、もしコロナ禍が終わって自由に動けるようになったとしても湘南エリアを中心に出店していきたいです。それのほうが楽しいと思える自分に気が付いたので。
Food Directorとしての活動
キッチンカー以外の事業として、茅ヶ崎の海辺にあるco-working, cafe&bar「,COMMA 」のフードディレクターをさせていただいています。“人をつなげる”という,COMMAのコンセプトに共感できたということもあるのですが、海辺のあの環境で飲食って単純に面白そうだなって。
コワーキングスペースにあるカフェなので、クリエイティブを刺激するような場所にしたいというか、話のネタにしたくなるようなメニューを提供していきたいと考えています。素材のこだわりとかは当たり前だと思うんですよね、,COMMAのカフェではこだわり方にこだわりがあるっていうか、興味も持ってもらえるようなこだわり方をしていきたいと思っています。
“そこに行けばいる”存在になりたい
自治体が管理している公園ってほとんどが車乗り入れが不可という理由で、イベントとか特別な時でないとキッチンカーが出せないんです。なんでもない日の公園にキッチンカーが止まってるっ光景って実はありそうで無いんですよね。でも、直接かけあうと結構前向きに検討してくれたりするんですよ、いろいろクリアしなければならないハードルはあるみたいなんですけど。
いつか、なんでもない週末の公園にお店を出してみたいですね。“そこに行けばいる”、そんなキッチンカーになりたいというか…
ライター情報
SHONAN garden 編集部
海、山に囲まれた日本有数のリゾート・湘南。この地で送るスローライフをより深く、より身近に。地元ならではの目線からあらゆるスポット・イベントなどの情報をみなさまへとお届けいたします。
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