豊作のビワに不作の梅。季節を取り違えた植物たち
梅が実らない……。
毎年、5月中旬くらいから梅の様子を観察しているのですが、我が家の庭で例年は10kgくらいの青梅を実らせる梅の木の様子が今年は違いました。たわわに実るはずの5月下旬になっても、じっと目を凝らして10粒見つけられるかどうかという寂しさ。剪定もロクにせずに放ったらかしていたからかなぁと肩を落としました。
昨年はたくさんの友人が梅収穫に訪れていたので、今年はお裾分けできなそうと報告すると、どうやら不作の要因は昨年秋の台風24号による塩害と、3~4月の低温にあるようです。海に近い鵠沼では、台風24号の後、塩害により多くの樹木や花が枯れました。本当は台風が去ったらすぐに真水をかけて植物についた塩分を洗い流さなければいけなかったそうです。それを知るのが遅すぎました……。さらに、春の気温の低さも伴って梅の出来が悪かったようで、他の多くの地域でも不作という声が聞こえてきます。
しかしながら、敷地内にある、他の梅の木が頑張ってくれました。いつのまにか3本も自生していた梅の木。取りにくい場所にあるため、例年は収穫すらしなかった梅の木がピンチヒッターのように実をつけていました。やはりどの木も「少なめ、小さめ」ではあるけれども、寄せ集めたらそれなりの量に!
不作ぎみの梅と違い、びっくりするほど豊作だったのはビワ。全く何も手をかけていないのに、南国の植物園かと思うほど、ぷっくり大きな実を大量に揺らしています。気象条件にデリケートな梅に比べ、ビワは強いのでしょうか。そしてお味もバッチリ! 梅の代わりにビワ収穫にやってきた子供たちは、ひたすらビワを食べ続けていました。ビワは葉にも様々な薬効があると言われていますね。今年は梅仕事ならぬビワ仕事?でもやってみようかと思います。
この春から初夏にかけて、今まで見たことのなかった花が庭に咲いていたり、いつもは夏に咲くタイサンボクが5月に花開いたり、4~5月が見頃のツツジが6月になっても咲き続けたりと、例年とは違う現象が見受けられます。春の鵠沼の風物詩、ウグイスの鳴き声も、3月終わりから6月まで続くというロングスパン!
今まで気づかなかっただけなのか、たまたまなのか、わかりませんが、全てのことにはきっと要因があるのでしょう。極端な大雨や、これまでの季節感とは外れた暑さ、寒さなど、近年顕著な気象変動の影響なのかもしれません。私たちは天気予報を見て、雨に備え、寒さや暑さに備えることができるけれど、動植物は外でじっと耐えるしかないのですね。それはもしかしたらとっても過酷なことなのかもしれない。それでも花が咲いたり、実ができたり。自然界の生命力には驚かされることばかりです。
最終的にはそれなりの量を収穫できた梅は友達に譲り、今年はいつもの木から採れたわずか6粒の青梅をお料理に使いたいと思います。塩害に負けずに踏ん張った精鋭たち、きっと美味しいでしょう。そして来年に期待です!
あの路地を曲がれば。〜雑誌編集者の鵠沼ライフ〜
鵠沼の自然を感じながら暮らす編集者が、
当コラムの執筆者、尾日向さんの発行しているスノーカルチャー誌
『Stuben Magazine』の公式ウェブサイトはこちら:http://stuben.upas.jp
ライター情報
尾日向 梨沙
編集者。東京都出身、藤沢市鵠沼在住。出版社勤務を経て、現在はフリーランスでウィンタースポーツを専門に取材、執筆。2015年に北海道ニセコの写真家とともにスノーカルチャー誌『Stuben Magazine』を発行。2019年より鵠沼の国登録有形文化財と周辺の緑を守る活動を開始。『松の杜くげぬま』管理人として様々なイベントを開催している
https://www.facebook.com/matsunomorikugenuma
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