ヨガがもたらす心のゆとり～「THE NEST」インストラクター・Marさん、Yoheiさんが伝えるヨガの魅力

江ノ電・腰越駅ほど近く、アウトドアスポーツの楽しみに触れられる場所としてつくられたクラブハウス「THE NEST」。2階にはウェルネススタジオが設けられ、ヨガやピラティスのレッスンが行われています。

ヨガは精神を安定させる修行法の一つとして、約4500年前にインドで誕生したものといわれています。当初は、瞑想や座法を中心としていましたが、後にポーズと呼吸法が加えられ、現在ポピュラーとされるヨガの形ができあがっていったとのこと。今では世界中で実践され、日本国内のヨガ人口も1000万人を超えているのだとか。

今回は、THE NESTでディレクターを務め、自身もヨガインストラクターとしてレッスンを担当しているMarさん、そして湘南を拠点に都内などさまざまなスタジオで多くのヨガレッスンを担当しているYoheiさんに、ヨガがもたらすもの、その魅力についてお話をうかがってきました。

日々の生活の中にヨガを取り入れる

――Marさんはディレクターとして「THE NEST」に携わっていらっしゃいますが、こちらのウェルネススタジオにはどのような特徴があるのですか。

Mar　すべてのアウトドアスポーツを行ううえで基本となるのが体です。その体を整える場所として、このウェルネススタジオを設けています。僕も湘南で長く生活していますが、海や山が身近にありアウトドアスポーツを行う方が多い環境でも、まだまだウェルネスというカルチャーはそこまでは根付いていないように感じていました。そこで、初心者向けのプログラムをメインに、時間も朝や夜の時間帯のレッスンをご用意するなど、今まで馴染みのなかった方々にもヨガを始めていただきやすい環境、生活の中に取り入れていただきやすい環境づくりをしています。

居心地の良い場所というのが「THE NEST」のテーマになっていますので、空間づくりにもこだわっているんですよ。ウェルネススタジオの床には肌馴染みがよく温かみを感じるパイン材を、壁には調湿作用があり“呼吸をする”とも言われる漆喰を使用し、ヨガをするうえで快適な空間としています。定員5名と少人数でプログラムを行っていますので、アットホームな温かい雰囲気を感じていただけるかと思います。

体と心に合わせて選べるヨガ

――ウェルネススタジオのプログラムを見て、ヨガでもさまざまな種類があることに驚きました。

Yohei 　現在、細かく分類すれば何千種類ものヨガが存在します。運動生理学が発展する中で、ヨガも変化しているんです。ご自身の体に合わせて選べる環境が整っているというのはいいこと。THE NESTでも、伝統的なヨガから音を使ったリラクゼーション効果の高いヨガ、そしてピラティスまで、生徒さんが選べるようにバラエティ豊かなプログラムを用意しています。

Mar　アウトドアスポーツをやっているインストラクターも多いので、体づくりを目的に始めてみたいという方にもぜひお越しいただければ嬉しいです。

変化していく喜びと達成感

――お二人はどのようなきっかけでヨガを始め、インストラクターの道へ進まれたのでしょう。

Mar　僕は、10代の頃からプロサーファーとして活動をしているのですが、もう１つキャリアを積みたいという想いがあったんです。その時に、友人がヨガを勧めてくれたのが出会いでした。

初めてのレッスンは、“なんだかよくわからないで終わっちゃったな”という感想でした。ただ、瞑想とともに五感の使い方を教えてもらった時に、自分の中で何かが研ぎ澄まされる感覚があって、何かいいなと思ったんです。それから回数を重ねていくと、今度はヨガの難しさを知ることになって。もっとできるようになりたいと、ヨガにのめり込んでいきましたね。

僕は体がすごく硬かったので、最初はなかなかポーズをとることができない。でも自分の体と向き合い挑戦することで、徐々にできるようになっていったんです。少しずつ変化していく感覚が嬉しくて、達成感もありました。

その時に「これってもっと周りの人に伝えていくべきなんじゃないかな」って思ったんですよね。自分の中で潰してしまっている“可能性”がきっとある。僕自身あんなに体が硬かったところから、前屈で手が床に届くようになったんですから（笑）。

こうした経験をきっかけにヨガのインストラクターを目指し、今に至ります。行き詰まりを感じた時、自分には可能性があるんだと信じる力を養えるのも僕にとってのヨガ。同じように何かしらの行き詰まりを感じている方もいらっしゃるかと思うので、ヨガを通してそんな方々の力になれたらと考えています。

ヨガで出会った心地良い感覚

Yohei　僕はもともと体育の先生になりたくて、体育大学に入ったんです。その後、トライアスロンの競技者として活動をしながらトレーナーもしていました。トライアスロンに打ち込んでいた時には、「頑張らないと」「前に前に」というマインドで日々生きていました。常に交感神経が働いて緊張している状態ですね。緊張状態が長く続くと体が硬くなってしまうんです。さらには、心もピンと張って、余裕がなくなっていて…。心と体のバランスが崩れていることを感じたんです。

その時に、トライアスロンのチャンピオンを経験した方がトレーニングにヨガを取り入れていることを知り、ヨガに興味を持つようになりました。実際にヨガのレッスンを受けてみたところ、ガチガチに固まっていた心と体が、呼吸とともに開放されていく感覚があって。自分にとって必要な要素だと考え、取り入れるようになったんです。

同時に、ヨガを通して出会う人、モノ、コト、そのすべてが心地良かったんです。例えば“食”に関しても、それまではプロテインやたんぱく質、サプリメントを摂取して…という世界にいたのが、ナチュラルなものを選択していくようになると、それがすごく心地良くて。

競技者として追い込んでいた頃には、心に余裕がなくなり、自分に対しても他者に対しても厳しくなっていたように思います。一方で、ヨガを行うようになってからは、調和を大事にするものでもあるので、やさしさを持って過ごすことができるようになったんですよね。そうした環境が好きで、気付いたらヨギーになっていました（笑）。

心を整える“呼吸”

――体だけでなく、心を整えるという面にヨガの特徴があるように思います。なぜヨガをすることで心を整えることができるのでしょうか。

Yohei　ヨガは深い呼吸がベースになります。呼吸を深めることで副交感神経が優位に働くようになり、それによって心が穏やかになっていきます。反対に、呼吸が浅いと、交感神経が優位に働くので興奮したような状態になります。

ただ、普段の生活の中で呼吸を意識することはあまりないですよね。ヨガでは、意識的に呼吸を深め、呼吸を通して体と心を変化させていく。この方法を身に付けることで、呼吸のスイッチを切り替えることができ、生活場面でも落ち着いた状態を保ちやすくなるんです。

Mar　ヨガの呼吸の深まりというのは、自然の中で伸びをして深呼吸する、あの感覚というのがわかりやすいかもしれません。心を自然な状態に戻し、広いスペースをつくるといった感覚でしょうか。自然の中でリラックスしている時って、自分の本当の声に耳を傾けたり、周囲の方の意見を受け入れやすくなったりすると思うんです。

そして心を整えるためには、呼吸だけでなく、自分の体という“乗り物”をしっかりとメンテナンスすることも必要です。ポーズをとり、自分の体と向き合うことを続けていくと、今自分がどういう体の形でどういう状態になっているのか、ということをイメージできるようになってくるんです。

“自分の細胞が活性化しているな”とか、“今日は血流が滞っているな”みたいな感覚を持てるようになる。深い呼吸とともに、体の細部に意識を向けるヨガならではの感覚なのかなと思います。皆さんにも、心と体を整えるヨガの魅力を味わっていただきたいですね。

大事なのは基礎、そして楽しむこと

――お二人がヨガを伝えるうえで大切にしていることはありますか。

Mar　一番は基礎です。美しい上級者向けのポーズに挑戦してみたいと思う方も多いかと思います。しかし、こうしたポーズは基礎があってできるようになるもの。これはサーフィンから学んだことなのですが、レベルが上がった時にこそ基礎の大切さを感じるんですよね。迷った時には見直して、調整していくことでさらなるレベルアップにつながる。ですので、基礎を大切に、それぞれのペースで挑戦していただけるレッスンを心掛けています。

Yohei　僕も同じく、基礎をベースに成長していけるようなレッスンを心掛けています。でも、まずは難しく考えずに楽しんでいただきたいですね。楽しいから続くし、続くから変わる。そんな感じで、楽しみながら可能性を広げられるレッスンを提供していきたいと思っています。

――最後に、お二人にとってヨガの魅力とは。

Mar　たくさんあって、お答えするのが難しいですね（笑）。ただ、１つを挙げるなら「心に余裕が持てる」ということですかね。ヨガを通して心と体を整えることで、生活も豊かなものになっているように感じています。

Yohei　ヨガって、自分自身を知ることができるんですよね。例えば意識することもなかった呼吸を感じるなど、自身の体や心について学ぶきっかけにもなるんです。そうした学びとともに心をやわらげることで、やさしさを持てる。それが、ヨガの魅力でしょうか。