生活の地で重ねる、自分らしいキャリア。「&donuts」中島愛さん
“生活の地で働く”を実践するため、株式会社イノベーター・ジャパンが立ち上げたプロジェクト「&donuts(アンドーナツ)」。働く時間の制限を受け入れ、子どもを連れて来られるオフィスづくりを行うなど、新たな働き方のプラットフォームとして、千葉・柏の葉と、湘南・茅ヶ崎に拠点を構えます。
デジタルメディアの運用やウェブサイトの構築から、採用業務やバックオフィスまでを担う&donuts。“生活の地で働く”とは、どんな働き方なのか、お話しをお聞きするため湘南オフィスを訪ねました。
扉を開けると、作業の手を止めて明るい挨拶でスタッフのみなさんが出迎えてくれます。オープンスペースにランダムに並べられた木目調のデスクは、それぞれに形が異なり、人の多様性を表しているかのよう。大きな窓からは外の光が明るく差し込み、風通しの良い雰囲気が広がります。
シンプルな内装に明るい光が差し込み、部屋の中を巡る
子育て中でも、キャリアをつなげる
この日、お話をお聞きしたのはウェブオペレーションを担当する中島愛さん。
中島さんは、これまで飲食や教育などウェブ制作とは異なる業界で、マネージメントや人材育成のキャリアを積んできました。結婚後、出産してからは、お子さんとの時間を最優先し、パートなど時短で働き、職場では一定の役割しか持つことができなかったそう。
「一番身近な大人である母親が人生を楽しむ姿、仕事を通して挑戦する背中を子どもに見せたい、という想いがあり、悶々としていました」
お子さんが小学校に上がり、少し手を離れた頃、“自分の将来を見据えたキャリアを築いていきたい”と新しい働き方を模索し始めます。
ウェブオペレーションの中島さんは、「&donutsらしさ」を体現するおひとり
ちょうどそんな頃、Facebook広告で&donutsの求人を見かけます。広告に掲げられた言葉は“生活を大切にしながら、自分らしく働く”という、まさに理想の働き方。同時に「そんなにうまい話があるものだろうか」と半信半疑の気持ちもあり、すぐには応募に至らなかったそう。
偶然にも&donutsの千葉・柏の葉オフィスに知り合いがいる友人がいて、その友人の勧めからオフィス見学をしてみることに。
会社の雰囲気や、働き方の具体的なイメージがわかると、求めている環境だと感じ、応募を決めます。
実際に入ってみると、ここでは一人一人がプロフェッショナルとしての責任と役割を持ち、母親だからといった妥協は許されません。さらには、会社のためだけでなく、自分のために成長する、という前向きな姿勢で仕事に向き合っていることに、居心地の良さと共感を覚えます。
未経験分野でも大丈夫? そんな不安に寄り添う「メンター」の存在
とはいえ、異業種からの転職。はじめからすんなりと業務になじめたわけではありません。専門用語の理解や、ソフトウェアやアプリケーションなどのツールを使いこなすこともままならず、この仕事が本当に務まるのか、不安を感じる日々も。そんな時、中島さんを励まし導いてくれたのは、「メンター」と「トレーナー」でした。&donutsでは試用期間中に、この双方によるサポート制度が設けられています。
メンターは、業界や職場の基礎的な知識を教え、不安や課題を共有しながら、並走する存在。中島さんは入社当初、「この先、ついていけるか心配」ということをメンターに漏らしていたそう。それでも「だいじょうぶ、私も始めはそうだったから」と力強い言葉で寄り添ってくれた、と言います。
一方トレーナーは、業務に必要なスキルやフローなど技術的なことを教え、試用期間を終えた後も同じチームとして働くメンバーです。
中島さんのメンターを担当した柳尾さん
「メンター、トレーナー、双方によるサポートのおかげもあり、少しずつわたしにもできることがある」と自信をつけていった中島さん。だんだんと仕事が身に付くと、これまでのキャリアで培ったマネージメントのスキルを活かして業務の幅を広げ、いまでは一部のディレクションも担うほどに。
異業種であっても、これまで仕事で得た経験は役に立っている、と言います。
“お互いさま”の働き方
中島さんと同じように、子育て中のお母さんが多く働く&donuts。仕事の品質に妥協はしたくない、けれど家庭の時間も大切にしたい。みな、それぞれの制限の中で葛藤を抱えているからこそ、必要な時には“お互いさま”の精神で助け合うことが、&donutsの日常であり、文化となっています。
「優先すべきことを考え、不要な工程を思い切って省いたり、明日で良いものは明日に回す、など、その時々で柔軟に考えることを学びました」と中島さん。それによって、これまで気付かなった本質的なものの見方ができるようになった、と感じているそう。
また、&donutsでは業務ごとにチーム体制を組んで仕事を進めています。中島さんが所属するチームでは、毎朝全員でミーティングを行い、タスクの整理と、業務の進捗を共有します。一人がタスクを抱えすぎていたら分担するのも“お互いさま”の精神。
この安心があるからこそ、一人一人が&donutsが目指す働きかたにコミットしながら成長を目指せるのだと感じました。
子どものいるオフィス
&donutsには、学校帰りの子どもたちがよく遊びに来ます。それぞれのデスクはイスの配置によって数人で向かい合える形になっており、子どもが来ても、お母さんと一緒に机に向かうことができます。またオープンスペースや本、おもちゃが用意されており、仕事をする場と子どものあそび場がバランス良く保たれていることを感じます。
中島さんのお子さんも、学校帰りに良く遊びに来るようになりました。これまで仕事をしていた時は、学童に預けるか、家で一人お留守番をすることもあったそう。「いまはオフィスに来たい時には来て、ほかの子供と遊んだり、親以外の大人とも関わることができる。子どもに選択肢ができたし、安心が増えました」。何より、子どもが働く母親の姿を見て、仕事に対する憧れや前向きなイメージを持つようになったことが嬉しいそう。お母さんを真似てパソコンに向かってみせたり、プログラミングを学びたい、と言い出したのだとか。
子どもと向かい合わせで座ることもできるよう、広めの机はランダムに並べられている
絵本やおもちゃも充実している本棚
変化の先の挑戦
&donutsで働きはじめて丸一年。その間に、新しいメンバーが増え、オフィスが移転し、イベントを開催したり場所貸しを始めたり、と業務内容も広がりました。&donutsプロジェクトそのものも、より働きやすく生産的な環境を作るため、進化を続けています。
そんな中、着実に力をつけ、今後ウェブディレクターへのステップアップを目指し、邁進する中島さん。
「目標ができたことで、自分自身に足りないところやもっと学びたいことが明確になりました。そのおかげで、自分らしい夢を持てるようになりました」
生き生きと話す表情からは、日々の成長と変化を楽しんでいる様子が伝わってきます。それは、当初思い描いていた、将来に続くキャリアの一歩を踏み出している実感があるからかもしれません。
湘南ワークスタイル
近年、働き方の多様化が注目を集めており、今までは東京が当たり前だと考えられてきた仕事を東京以外の場所で行う形も多く見られるようになりました。都心にも近い湘南は様々な職種の方がそれぞれ自由なスタイルで仕事をしています。この特集ではそんな湘南エリアでのワークスタイルを紹介していきます。
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&donutsプロジェクト
[住所(湘南オフィス)]
〒253-0043 神奈川県茅ヶ崎市元町18-11 湘南MISUZU BLDⅡ 3F
[運営会社]
株式会社イノベーター・ジャパン
[ウェブサイト]
https://www.andonuts.jp/
ライター情報
きべちゃこ
翻訳家・ライター。海のある暮らしを求めて、2017年に都内から湘南に移住。 移住後、庭先や耕作放棄地を利用したコミュニティ農園で、畑を耕す半農生活を送っています。海や山、畑で過ごす時間を通して、心地良いと感じることがよりシンプルにクリアになってきました。 湘南の農や、自然とのふれあいを発信していきます。
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