湘南ワークスタイル

「KAMAKURA COWORKING HOUSE」〜「子育て空間をシェアするコワーキング」の実現を目指して

鎌倉という土地には様々な顔があります。お寺や海に面している代表的な鎌倉、腰越だけでなく、西側に位置する丘陵地は「深沢地域」と呼ばれ、高級住宅が並ぶ鎌倉山もあります。今回訪問したコワーキングスペースのある常盤、梶原、笛田周辺も同じく「深沢地域」にあり、従来からの古い住宅地に加えて、最近急速に子育て世代が移住してきたエリアでもあります。

「子連れOK!」なコワーキングレンタルスペース

「KAMAKURA COWORKING HOUSE」のオーナーの小松あかりさんも、6年前の結婚を機に鎌倉に移住し、現在では3児の母として子育ての真っ最中です。2017年に現在の一軒家である二世帯型住宅を購入し、ご家族とともに引っ越して来ました。そしてその年の8月、居住スペースの隣に「KAMAKURA COWORKING HOUSE」をオープンしました。コンセプトは「子連れOK!なコワーキングレンタルスペース」。子育て世代に対して「子育てしながら無理なく働ける空間」を提供することを掲げ、地域の人々が子育てに携われる場所として〈子育て〉と〈働く〉がぎゅっと詰まったシェアスペースになることを目指しています。

子育て世代目線で考えられた、フロアデザイン

1階のリビングにお邪魔すると、オーナー自らがリノベーションしたカフェスペースにはアップサイクルされた古い家具やミシンがならび、キッチンも付いたとてもアットホームな空間があり、小スペースだからこそ「遊んでいる小さなお子さんに目の届きやすい環境」でもあります。2階に上がると、こちらは落ち着いた部屋がいくつかあり、通常はコワーキングスペース(間仕切りの無い仕事スペース)として開放しているそうです。また事前の予約が必要ですが、ヨガやワークショップなどを行うレンタルスペースとしても利用可能だそうです。

「KAMAKURA COWORKING HOUSE」はいわゆる「保育園」ではありません。基本は利用者が、「仕事などをしながら子どもを見られる空間」です。しかし、新しい試みも始めています。月に一回「セルフメンテナンスデイ」として「子どもを一定時間だけ預けられる試み」も実施しています。こちらは保育士さんに1日来てもらい、参加者のママは子どもを預ける事ができます。「保育時間を利用して、自分を見つめ直す「自分時間」を持ちましょうというイベントです。「自分時間」では是非自分のやりたいことをしてほしい。これも子育て空間をシェアできるからこそ。」とオーナーの小松さんは仰っていました。

社会課題解決の一つのモデルケースになれれば

こちらの利用者は、そのコンセプトから「子育てをする女性」がほとんどです。例えば、取材した日にお話しを伺った方は、近隣にお住まいで、その地域では保育園がいっぱいで利用できないため、こちらで子どもを見ながらデザイナーのお仕事をしているそうです。こうした保育園に預けられないでいる方は、この深沢や周辺地域でもたくさんおり、その社会的ニーズは非常に高いと思われます。

小松さんは「ここがそんな社会課題解決の一つの新しいモデルになってくれればと期待しています。また、今後の「子育てワーキング」には、女性だけでなく、男性や違う世代の方の参加も必要不可欠。様々なメンバーでアイデアを出し合える共創空間にしたい」とも話していました。

トライ&エラーで理想の形に近づけていく

どのような人がどのように「子育てワーキング」に参加するのか、「KAMAKURA COWORKING HOUSE」はまだまだ発展途上です。小松さんはこれからも施設のリノベーションをご自身で少しづつ行っていくつもりだそうです。それと合わせて、「子育てしながら無理なく働ける」「子育て空間をシェアする」場所の実現に向けて、日々色々な活動を模索しています。例えば、一階と外のスペースを使って「ツキイチマルシェ」という「フリーマーケット、ハンドメイド作品、ワークショップなど」を月に一度、地域の方と一緒に行なっています。コンセプトは「地域でまわそうヒト、モノ、コト」だそうです。さらには一階のキッチンがあるスペースをカフェとして貸し出すスタイルや、保育士さんをより常駐化、増員していくようなスタイルなども今後試してみたいのだとか。

こうした色々な活動体験を通して、その中で同じ志を持つ方がいれば、是非「運営パートナー」も募集したいということでした。

取材を通して、「KAMAKURA COWORKING HOUSE」は「子育て空間をシェアするコワーキング」の実現に向けて、色々な活動やネットワークが生まれていく場所になっていく予感がしました。子育てコワーキングの発信拠点として、今後も期待がふくらみますね。

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