勇気を出して暖簾をくぐろう。鎌倉「ちんや食堂」の店内に広がる光景とは…?

藤沢駅から長谷方面へ向かう県道32号線沿いの「常盤口」信号の手前、車道から右側に何とも摩訶不思議な外観のお店が目に入ります。

いったいどんなお店なのだろうと気にはなりますが、中へ入るためにほんの少し勇気が必要……でも、お店の中に広がる独特の世界観と、「おかえり」と言われているような店主ご夫妻のあたたかい人柄に触れれば、必ずまた来たくなるほど魅了される中華料理店です。

鎌倉山のふもとで愛され、およそ半世紀。

現在お店を切り盛りしているのは増田一仁さんと奥様の美佐子さん。一仁さんは御年82歳というご高齢のため、息子さんの康仁さんも厨房を手伝っています。

ちんや食堂の前身は、増田さんのご両親が昭和初期に長谷観音そばで営まれていた「鎌倉ちんや食堂」。時代の流れで観光客が減り、現在の常盤に店を移して46年目になるそう。ご夫妻と話す居心地のよい時間を過ごしていると、長い歳月たくさんのファンに愛され続けてきた理由がわかります。

オリジナリティ溢れるオブジェは店主の力作。昭和初期の鎌倉の様子も。

店内には所狭しと昔ご主人が作ったという数々の独創的なオブジェが。外の看板や店内の木製メニューもすべてご主人の手作りで奥様によるとそういった仕事をしていたわけではなく趣味の延長で、とのこと。

その他にも前身の店が写った昭和初期の写真や、著名人のサインなども展示されています。お話を聞けば、鎌倉が舞台のドラマのロケ地になったこともあるとか。

ボリュームたっぷり「しいたけそば」と、隠し味が込められた餃子を召し上がれ!

おすすめの「しいたけそば」は、水でもどした後にしっかりと下味をつけた肉厚のしいたけがぎっしり。適度な甘味が後を引きどんどん食が進みます。

ご主人イチ押しの餃子については、「中国の調理人から習ったんだ。キャベツ以外は混ぜ合わせしっかりと時間をかけてこねているから美味しいでしょう」とご主人。言われる通り、大ぶりの餃子は皮がパリパリ、中身は歯ごたえがあるのにとてもジューシー。

ちなみに、餃子の隠し味は少量の練り梅! 梅の味は全くしないのでご主人からお聞きするまで全くわかりませんでしたが、この隠し味がイチ押しの理由なのかもしれません。

「インターネットの環境がないから取材を受けても見られないのよ」と笑う奥様ですが、訪れた人の口コミで人気はどんどん広まり平日でも昼時は混み合います。一部のグルメサイトでは営業時間が18時までとなっていますが、現在はご主人の体調を考慮して15時クローズとなっていますので、訪れる際はご注意ください。

鎌倉のお父さんとお母さんに会いに、ぜひ勇気を出して「ちんや食堂」のドアを開けてみてはいかがでしょうか。

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