“湘南の玄関口”で、ひとつ屋根の下の共暮らし。女性限定シェアハウス「Tofu house」。

JR東海道本線、横須賀線が通るほか、成田エクスプレスの始発駅であり、京浜東北線のターミナルでもある大船駅。湘南モノレールを使えば江ノ島にも出られる“湘南の玄関口”ともいうべきこの街に、古民家を改装して出来上がったシェアハウスがあります。

住んでいる3人の女性は、それぞれ異なったバックグラウンドを持ちながら、ひとつ屋根の下で共に暮らしています。その様子はさながら『海街diary』のよう。観音様のお膝元、人々が集まる「Tofu house(トウフ・ハウス)」をご紹介しましょう。

オーナーを務めるヤマグチさんは、普段は都内で会社員として働く傍ら、用賀でゲストハウスを営んでいます。きっかけはアメリカ・ニューヨーク。以前2ヶ月ほど滞在した際に、とある日本人向けゲストハウスで管理人を務めました。そのとき、人との出会いに楽しさを感じたのだといいます。

その後、現在の住人の知り合いが家を持て余していると聞き、シェアハウスという新たな形態にチャレンジしてみようと一念発起。2015年の暮れからリノベーションに着手しました。壁を塗り直したり、照明の色味にこだわってみたり……土日休みを利用して、随所に手作り感のある家をつくり上げていきました。

ちなみに、名前の由来は“外国人にとっての親しみやすさ”と“イメージの柔らかさ”から。外国人が分かる日本語を数挙げて、その中からソフトな印象を受けた「Tofu(豆腐)」を選んだのだといいます。ちなみに、用賀のゲストハウスも同じ名前を冠しているとのこと。

こだわりのポイントは内装だけではありません。この家には庭があり、そこには家庭菜園が設けられています。静岡の実家が農家を営んでいるというヤマグチさんは、この菜園に込めた想いを次のように語っています。

「Tofu houseのテーマのひとつとして、“丁寧に生きる”ということを掲げています。たとえばご飯をつくるとき、添える野菜に庭で育てたものを使うだけでも、食への意識が変わると思うのです。自分の体にやさしく、丁寧に暮らすということをこの家で実践してみてほしいのです」

Tofu houseと出会うまで、大船を訪れたことは一度もなかったというヤマグチさん。「ドラマや映画のロケ地になっているのを見ていたので、鎌倉はずっと好きだし気になっていたんですが、そこから電車で5分、10分のところにこんな場所があるとは思いませんでした」と述懐した後、こう続けます。

「僕はこういう雰囲気が好きなんです。たとえば、鎌倉も大船も細い道が多い印象なんですけど、街歩きが好きな僕にとってはそれがとっても嬉しくて。ありのままな道沿いの環境も自然と共存しているような感じがするし、そういうところも好きですね。実は僕が住みたいぐらいなんですよ(笑)」

昔ながらの少し急な階段を登ると、住人ひとりひとりの部屋があります。この日は特別に、住人の一人であるユウコさんのお部屋を見せていただきました。どこか懐かしさのある風景。窓の外に覗くゴーヤ。人ひとりが暮らすにはちょうどいいスペースに思い思いの品々が置かれ、育まれていました。

「佐賀から上京してきて一番初めに住んだのは新百合ヶ丘でした。それから宮前平とか高円寺とか……いろんなところでひとり暮らしもしたし、シェアハウスに住んだこともあります。でも、やっぱり庭がある家がいいなぁと思っていたんですよね」

Tofu houseはユウコさんにとって11軒目の家になるそうですが、最も住みやすさを感じているといいます。

「大船は川を境に棲み分けがされているので、暮らしやすいですね。必要な物が手に入るのは駅の向こう側(東口)で、こっち側(西口)は静かな場所が多い。そして、いろいろなところに行きやすいアクセスもあるので、なにかとちょうどいいんです」

静かに過ごす日が多いそうですが、時には人々を招くこともあるそうです。取材を行ったこの日はパーティーが開かれて、夕刻をすこし過ぎる頃まで、たくさんの笑顔と笑い声が家から溢れかえっていました。

近年、少しずつ人気が高まっているシェアハウス。このTofu houseも、わずか3週間の募集期間で10件の応募があったといいます。

人々と助け合いながら、湘南特有のゆったりとした雰囲気に包まれて日々を過ごす……ライフスタイルのプランに、そんな選択肢を加えてみるというのはいかがでしょうか。

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