江ノ島界隈に現れたお手軽アメリカン・ファストフード、「Café LivingRoom」。

江ノ電・江ノ島駅から海に向かって延びるスバナ通り沿いの「Café LivingRoom」。同じく江ノ島駅から歩いてすぐのところにある「Taste Of LivingRoom」の姉妹店として、カジュアルでアメリカンなお店が2016年のゴールデンウィークにオープンしました。

ハンディーでお手軽なものからボリュームたっぷりな一品まで提供するファストフード・ショップを営むのは、とにかく行動を起こすのが信条だという“超”行動派のオーナー。周辺では珍しく営業時間を夜遅くまで設定していますが、このことにはオーナーのある想いが込められていました。

カリフォルニアのテイストが随所に散りばめられた、スバナ通り沿いのファストフード・ショップ。

駅から江ノ島へと向かって延びるスバナ通りに面したお店の立地を見て、アメリカンなファストフードを提供することにしたというCafé LivingRoom。フードのみならず、お店の内装にもアメリカンテイストが散りばめられています。

アメリカ西海岸、とりわけカリフォルニアが好きで、よく旅行にも出掛けるというオーナーの齋藤さん。お気に入りのニューポートやハンティントンビーチにありそうな、昔ながらのファストフード店をイメージして、味のあるインテリアの数々をチョイスしたといいます。

通りを歩いていて気になったら、足の進む先をお店の中へと向けてみましょう。異国情緒と海チカのムードが漂う店内の席に腰掛けて、時をじっくりと進めるのもひとつの過ごし方です。

今回いただいたのは「ケサディーヤ」。アメリカ、メキシコを中心にポピュラーなお手軽フードです。ノンオイルの鉄板で焼き上げた生地と具のジューシーさが織りなすコンビネーションを、イートインでもテイクアウトでもご堪能いただけます。

なお、Café LivingRoomでは具の種類を選べるようになっているので、自分だけのパターンを編み出すのも楽しみ方のひとつ。トッピングにはトマト、チーズなどベーシックなものをはじめ、味噌などといった和のテイストも。

ちなみに、フライドポテトとドリンクのセットをつけるとボリューム感が増します。ですので、しっかり食べたいときには店内でセットを、ササッと食べたい時には単品を持ち帰りで……というふうに分けてもいいかもしれませんね。

  • ▲ 具のカスタマイズも楽しめる「ケサディーヤ」のセット。今回は「自家製ピンクレモネード」を添えて

また今回は特別に、6月からの導入に向けて考案中のメニューもいただきました。それがこちらの「カップライス」。ライスの上に乗るトッピングによって種類が分かれていて、チョイスは「タコライス」と「シーフード」の2種類。それぞれ違ったテイストを演出しています。

まずは「タコライス」。その名の通りタコライスに着想を得ています。ビーフ、チキン、そしてチーズといった具の上に、グリーンソースやトマトソースなどがかけられています。ハンディーなサイズとは裏腹に、しっかり食べられる一品です。

いっぽう、「シーフード」がもたらすのはサッパリとした味わい。三崎のマグロや湘南のしらすが用いられるなど、“LivingRoom”と名の付くお店共通のテーマである「地産地消」を表したメニューとなっています。「小腹は空いたけど、あんまり重たいのはなぁ…」というときは、ぜひお試しあれ。もちろん、どちらもテイクアウトOKです。

  • ▲ 「タコライス」(左)と「シーフード」(右)は6月にラインナップ入り予定。乞うご期待!

  • ▲ ほか、各種スイーツも用意されています

思い立ったが吉日。アクティブなオーナーが語る湘南の良さは「“わからない”。だから僕はここにいる」。

オーナーの齋藤さんは横浜出身。都内の飲食店で経験を積み、湘南にやってきたのは31歳のときでした。移住の決め手は「田舎暮らしが気になったから」。都会で暮らし、過ごしてきた時間が長かったため、郊外のライフスタイルに興味を持ったのだといいます。

「思い立ったが吉日」という言葉がピッタリなフットワークの軽さを持つ齋藤さん。江ノ島に遊びに来たその日に部屋を借りて、10日後には住まいを移してしまいました。自身の経験を活かすべくレストランが開ける物件を湘南で探したところ、姉妹店の「Taste Of LivingRoom」が今ある場所を発見。そして、そのまま開業を決意しました。

「僕の特徴って、とにかく行動することなんです。気になることがあったらとにかくそのことだけを考える。そして、できることがあればその場で行動に移す。そんなふうにして僕はここまでやってきました」

  • ▲ オーナーの齋藤さん。豊富な経験を活かして、姉妹店ではカジュアルフレンチを振舞っています

そんな齋藤さんに湘南の良さを伺いましたが、答えは「わからない」とのこと。とはいっても全く“わからない”わけではなく、良いポイントが多すぎてひと言で言い切れない……というのがその実のようです。

「たとえば自然に目を向けてみると、湘南は海と山がお互い近くに共存してますよね。それで、いろんな食材が豊富に採れたりするので、シェフとしては料理のしがいがあるんです」と齋藤さん。

「他にもいいところがいっぱいあるんだけど、いっぱいあるから“わからない”。そして、わからないからこそ僕はここにいるんだと思います。もし湘南の良さがわかったら、その時はどっか別のところに行っちゃうかもしれませんね」と、半ば冗談交じりに湘南の良さを教えてくださいました。

夕暮れ後のスバナ通りに、明かりを灯す理由とは。

「このお店にはいろんな人に来てもらって、ゆっくりしていってほしいと思ってます」という齋藤さんの想いに基づき、Café LivingRoomは夜遅くまでオープンしています。むしろ、その場が盛り上がっていれば営業時間を延長することもよくあるとのこと。

地元の人も遊びに来た人も関係なく、みんながいつでも集まれる場所を提供したいというポリシーに基づいて、この辺りでは珍しく、夜遅くまで扉を開けているのだそうです。ちなみに、通りに面したテラス席はワンちゃん連れOK。散歩のついでにちょっと寄っていこう……なんていうのもアリですね。

「人がいないからお店が閉まっちゃうんじゃなくて、お店が閉まってるから人がいなくなっちゃうんじゃないかなって。暗い中で1軒でも明かりがついてると、ちょっと寄ってみたくなるじゃないですか。そうやっていろんな人たちがこのお店に来て、つながっていってくれれば嬉しいですね」

昼間はお手軽ファストフードショップ、日が暮れてからは人のつながりが育まれるコミュニティへと姿を変えるCafé LivingRoom。家のリビングのように居心地の良い空間を提供するこのお店は、観光地のイメージが強い江ノ島に新しい風を吹かせるかもしれません。

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