“裏北鎌倉”で発見!五感で楽しむカフェ&ギャラリー「Cast on(キャストオン)」

紫陽花の名所でもある「明月院」「円覚寺」のほか、鎌倉五山の第1位でもある「建長寺」など、歴史と文化を感じられるスポットが集まる北鎌倉。ハイキングコースも多く、古都の街並みと自然を味わいながら、風情ある鎌倉をゆったりと堪能できる場所でもあります。2019年9月にオープンしたカフェ&ニットギャラリー「Cast on(キャストオン)」は、そんな景色に溶け込みながら、おいしい紅茶とお菓子、手編みのニット製品に出会える素敵な空間です。

観光エリアから少し離れた“裏北鎌倉”で、おいしい紅茶とお菓子を味わう

そこは、JR北鎌倉駅西口から鎌倉街道を大船方面に進み、2分ほど歩いた場所。住宅街でもあるこのエリアは、芸術や文学に携わる人が暮らし、さまざまなジャンルのギャラリーが点在しているのも特徴です。そんな中の一つでもある「Cast on」の外観は、暖かみを感じる壁と大きな窓が開放的で、スタイリッシュな雰囲気を感じさせてくれます。

  • センスの良さが光る店内  

  • カウンターには素敵な店主の姿が!

店内はカウンター席が2つと、2人掛けのテーブル席が2つ。こぢんまりとしたスペースながら、天井の高さやカウンターの位置など、すべてがバランス良くまとまっている印象です。

お店のメインとなっているのは、紅茶。ダージリンやアッサム、アールグレイなどお馴染の茶葉はもちろん、爽やかな味わいが楽しめるディンブラ、ニルギリ、ミックスベリーなど実にさまざまです。カウンターに目を向けると、おいしそうなレモンケーキとスコーン、クッキーなどが勢揃い。さやさしく甘い香りに包まれ、心が癒されていくのを感じます。

  • その日の気分に合わせて選べる紅茶がたくさん!

  • 魅力的なメニューが揃う

レモンドリズルケーキと紅茶は、最強の組み合わせ

「せっかくなので、飲む機会が少ない紅茶を」と店主の井関妙子(いせき・たえこ)さんに選んでいただいたのは、「ニルギリティー」。フルーティーな香りとスッキリとした味わいが特徴で、ダージリンやアッサムと同じインド産の紅茶です。

そんな紅茶とも好相性なのが、イギリスの伝統菓子とも言われている「レモドリズルケーキ」。あまり馴染のない“ドリズル”という言葉には、”したたる“という意味があるそうで、その名の通り甘酸っぱいレモン果汁をたっぷりと染み込ませたケーキです。口に入れた瞬間、爽やかなレモンの香りが口いっぱいに広がり、フワフワ感がたっぷりの生地からはおいしさが溢れて出てきます。紅茶と一緒に味わえば、まさに英国で優雅なアフタフーンティーを楽しんでいるような気分に!

  • 一晩かけてレモン果汁を染み込ませた「レモドリズルケーキ」

紅茶の教室でティーフーズの作り方を習って以来、井関さん自身も大好きになったというこちらのケーキ。実は教室で習ったレシピは、もう少し薄い厚みだったそうですが、
「厚みがある方が絶対においしいでしょ?(笑)」と、笑顔で話してくれました。

  • ケーキについて楽しそうに話してくれた井関さん

  • ほんのり甘く素朴な味わいが絶品のスコーン

  • リピーター続出の人気メニュー「甘酒ミルク」

  • 餡&バターがトーストのおいしさを引き立てる

こだわりの内装とインテリアが、お茶やお菓子をイキイキさせる!

おいしいケーキと紅茶を味わいながら至福の時間を過ごす中、改めて感じたのは、お店に流れる心地よい空気。そこには、井関さんの穏やかな口調や耳障りのいい音楽のほかに、内装やインテリアの存在があると気づかされます。井関さんによると、“ある家具作家さんとの出会い”が、この空間を生み出すきっかけになったとか。

「お店のオープンが決まった直後、ふらっとカフェに入ったら、そこのインテリアがとても素敵だったんです。座り心地のよい皮の椅子と木の温もりを感じるテーブルが、すごく絵になっていて。思い切ってお店のマスターに『オーダーメイドですか?』と話しかけ、作っている所を紹介してもらいました」と井関さん。そこはオーダー家具の製作を手掛ける「HALF MOON FURNITURE WORKSHOP」という工房で、井関さんがカフェをオープンさせることを伝えると「一緒に作りましょう」と、すぐに話が進んだそう。

「この空間の中にいると、お茶やお菓子がイキイキと楽しそうに感じるんです。シンプルでありながら、心地よさがある。まさに、私の思い描いていたイメージにピッタリ! 7畳程の店内が開放的に感じるのは、この内装とインテリアのお陰です」と、井関さんは嬉しそうに話してくれました。

  • 空間を引き立たせるテーブル&チェア

  • 照明もオシャレ度抜群!

  • 井関さんが、鎌倉のギャラリーで一目惚れした器

  • カウンターの高さは、目の前に座ったお客さんの目線と“少しずれる”ように計算されている

また、「Cast on」はカフェのほかにニットギャラリーとしての顔をもち、井関さんによる手編みのニット製品が店内に彩りを添えています。「草木や花を楽しむように、ニットの色を楽しんでほしい」という想いから、季節を感じてもらえるような色の毛糸を意識して選ぶそう。ここでも、店内のシンプルな内装やインテリアが、ニットの美しさを堪能できる“器”であることを感じさせてくれました。

  • ニットの色から季節を感じることができる

  • ニット帽は冬の景色によく似合う

セカンドキャリアを前に、自分と向き合い分かったこと

井関さんがカフェ&ギャラリーを開くことを決めたのは、今から2年ほど前。自身の定年退職を前に、今後の人生について改めて考えた時だったとか。
「長年、それなりにキャリアを積みながら夢中で働いてきましたが、どこかに“自分らしさ”を置いてきたような気もしていたんです。“定年”という二文字が見えたとき、この先の人生は、等身大の自分でいられる生き方をしたいと思いました」と井関さん。自分と向きあうことで見えてきた、次のステージでの生き方。さらに、井関さんはこう続けます。

「前職では高齢者の方と接する機会が多かったのですが、いい表情をしている方の共通点は、“自分の五感を大事にしている”ということに気がついたんです。自分が心地よくなるものを見て、聞いて、味わい、感じる時間を大切にする。これから先、私もそんな風に過ごしたいし、そんな時間を届けたいと思いました」

それが、カフェという空間を五感で楽しんでもらいたいという新たなチャレンジへと繋がり、ここ北鎌倉という地で形になったのです。

オープンしてわずか半年ながら、地元の方を中心に多くの人が訪れている「Cast on」。
「定期的に来てくださるお客様も増え、ありがたく思っています。土日になると観光の方も多くなるので、『〇○の行き方は?』『こっちの方が近道よ』なんて会話も飛び交いとても賑やか。私自身もそんな空間にいられることに喜びを感じます」と最後に話してくれました。

おいしい紅茶とお菓子を味わい、井関さんのやさしい言葉と流れる音楽に癒され、手編みニットの柔らかい風合いに触れる。あなたも「Cast on」で、ちょっと心が豊かになれる優雅なひとときを過ごしてみませんか?

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