湘南・平塚の地下道に新たな息吹を。人と人をアートでつなげる「平塚地下道ミュージアム」。

平塚駅前広場の地下道をアートで美しく彩る「平塚地下道ミュージアム」。去る11月3日(金・祝)の文化の日に、平塚駅ラスカ前でその完成を祝う落成式が行われました。秋晴れの中、多くの方で賑わったこのイベントを取材しました。

このイベントは昨年、工事中の平塚駅北口の商店街を壁画アートで飾ったのがはじまり。その実績が高く評価され、やや寂しいとの声も聞かれていた地下道をアート作品で飾ることになりました。

殺風景な地下道の景色が、アートで一変。

まず今回の実行委員長である「GALLERY COOCA」の北澤さんにお話をうかがいました。「絵を完成させるまでの間、アーティスト同士の交流はもちろん、製作風景を見た方が声をかけてくださったり、さらに絵を見ている通行人同士で会話が生まれたりと、さまざまな人とつながることができました」。

「今回のイベントをきっかけに、もっと平塚のアーティストが参加してこの地下道がまるでサロンのような多様性あふれる場所になればいいなと思います」と北澤さん。続いて落合平塚市長も、「アートの力が街に暮らしやすさをもたらしたように、皆さまの力をお借りして、もっと平塚市を盛り上げていきたい」とのお言葉を。

まさに、平塚市がかかげる“手をつなぎたくなるまち 湘南ひらつか”を体現するかのようなプロジェクトになりました。

  • ▲ 実行委員長「GALLERY COOCA」の北澤さん

  • ▲ 落合平塚市長のご挨拶も

アーティストによる作品解説も。

挨拶の後はアートが飾られた地下道へと移動し、アーティスト自身による作品解説が行われました。まずは駅前から地下道へ下る階段へ。そこから上を見上げると、見ているだけでウキウキするようなポップで楽しげな巨大な絵が階段に出現。「studio COOCA」所属の横溝さやかさんによるこの絵は、今年の平塚七夕まつりのパンフレットにも採用。平塚市の特徴を鮮やかに描ききった作品です。

  • ▲ 階段一面にダイナミックな絵が

ほかにも、無数のシャチや夕暮れの平塚の光景、迫力に満ちた鳥のように見える生物など、さまざまな絵がズラリ。さらに絵の具をつけたボクシンググローブを叩きつけて描いた作品や一篇の詩、「1761studio」の岩崎夏子さんの作品のように、見るものに問題提起を投げかける作品など、こころをぐっと掴まれるような数々のアートが殺風景な地下道に息吹を吹き込みます。

  • ▲ グローブで描いた作品も(※男の子はアーティストの息子さん)

  • ▲ 岩崎さん自ら、作品を解説

音楽×描画のライブペインティング。

続いて再び駅前に戻ると、ミュージシャンとアーティストによるライブペインティングがスタート。インストゥルメンタルジャムバンド「CANTO!」のスリリングな演奏に乗せて、ガールズアートユニット「ENOWA」が1枚の絵を仕上げていきます。

時には優しく、そして激しく。ロック、ジャズ、ブルース、モンゴル……など、さまざまなジャンルをミックスしたアドリブ感とグルーヴ感あふれる音楽にノッて、体を揺らし全身を使って絵を描く2人の女性アーティスト。筆を走らせるごとに表情を変えていくキャンパスから、観客はひとときも目を離せません。

「CANTO!」による約1時間のパフォーマンスに続いて登場したのは、DJ TAISON。地元平塚を中心に活動するDJが繰り出すハウスやディスコミュージックが心地よく響くなか、「ENOWA」も流れるようなスムーズさで絵を仕上げていきます。

  • ▲ 選曲が光るDJ TAISON

  • ▲ アーティストも思わず笑顔に

アートがあふれ、人々の笑顔がこぼれる。

そして約1時間後。ミュージシャンとアーティスト、そして観衆の歓声が一つになって、唯一無二の作品が完成。ライブペインティングは大喝采とともに終了しました。平塚駅前がアートと情熱に埋め尽くされ、“芸術の秋”にふさわしい一日となりました。

今回の「平塚地下道ミュージアム」は、に参加したアーティストの作品展が11/23(木・祝)まで「GALLERY COOCA」と「1761studio」、2つのギャラリーで開催されます。まだ“アートの秋”に触れていない方は、ぜひこの機会に出かけてみてはいかがでしょうか。

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