アートを通じた心のふれあい、そして会話…『平塚地下道ミュージアム』のルーツに迫る。

presented by 平塚市

湘南エリアの中でも市街地の規模がとりわけ大きい平塚。そんな街中を、アートの力で盛り上げようという取り組み『平塚まちなか美術館』をご存知でしょうか? 2016年初夏に制作が行われ、翌年2月まで平塚駅前の商店街の一角をカラフルに彩っていました。

惜しまれつつも2017年2月に終了した『平塚まちなか美術館』ですが、今度は『平塚地下道ミュージアム』として平塚駅北口の駅前広場地下道を彩ることとなりました。そこで今回は実行委員会のメンバーである「studio COOCA(スタジオ・クーカ)」の北澤桃子さんにお話を伺いました。

日本のみならず、NYでの出展も。湘南・平塚からアートを発信する「studio COOCA」。

『まちなか美術館』に参加している「studio COOCA」は2009年にスタートした社会福祉施設で、ハンディキャップを持つ人々がアートを通じてコミュニティに参加し、貢献していくことを目的としています。

これまで各地のギャラリーや美術館をはじめ、ニューヨーク・ブルックリンのアートイベントにも出展し、国内外から評価を集めています。中でも、所属アーティストである横溝さやかさんは文部科学省から「スペシャルサポート大使」に任命されるなど、湘南・平塚から活躍の場を広げています。

街を彩り、人々とのつながりを楽しむ。そんなアート活動のきっかけとは…

そんな「studio COOCA」が、同じく平塚市内にギャラリーを構える「1761studio」とタッグを組んで行ったのが『まちなか美術館』でした。北澤さんにお話を伺うと、そのきっかけは平塚駅北口の商店街だったといいます。

「2015年に『GALLERY COOCA & CAFE』をオープンしてからは街と関わっていくという意識が強くなっていて、その頃ある場所にマンションが建つということで、その区画だけ仮囲いで殺風景になってしまっていたんです。

そして、『七夕まつりが開催されるのに、ここだけ(飾りが)何もないのは寂しいから、たとえば絵を描いたりできない?』と商店街の方からお声掛けいただいたのが『まちなか美術館』のはじまりでした」

  • ▲「studio COOCA」北澤桃子さん

マンションが建つまでの間、工事現場を覆っていた仮囲いに直接絵を描くというアートイベント『まちなか美術館』はこうしてスタートしました。“アートを通じて平塚の街を元気に”という想いも込められていましたが、参加した「studio COOCA」のアーティストたちもまた元気を与えられた……と北澤さんは振り返っています。

「シャチの絵を描くのが好きな伊藤(太郎)さんが『studio COOCA』から参加していたんですが、彼は描くスピードがとても速いんです。街ゆく人々の中には、伊藤さんの筆の速さを見て足を止め、気がつけば書き上がるところまで見届けた方がいらっしゃいました。そして、その方は後日ギャラリーにも訪ねてきてくださったんです」

  • ▲シャチの絵を描く伊藤太郎さん photo by まちなか美術館実行委員会

「そうやって、ハンディキャップを持ったアーティストたちも街の人々と交流できる機会が生まれて、アートを通してコミュニケーションを取れるフランクな関係が出来上がっていきました。作品をつくる人にも、それを観る人にも刺激があって、お互いに楽しい時間を共有できるんですよね」(北澤さん)

アートを通してつながる者同士の間にバックグラウンドは関係なく、伝わるものは伝わる。そうして、平塚の街を彩るだけではなく、ハンディキャップを持つメンバーが街の人々との接点を得る機会になったのが『まちなか美術館』でした。

『平塚地下道ミュージアム』の様子をお届け。

そして、2017年10月中旬からは『平塚地下道ミュージアム』の制作がはじまりました。これは『平塚まちなか美術館』と平塚市シティプロモーション担当のコラボレーションとして、「studio COOCA」「1761studio」の面々を含めた17人のアーティストが「手をつなぎたくなる街」にインスピレーションを受けた作品を制作・展示する取り組みです。

制作過程は一般公開されており、編集部は10月20日におじゃまいたしました。以下では写真を中心に、ライブペインティングによる制作の様子をお伝えいたします。

壁画制作は10月29日まで行われ、文化の日である11月3日には落成式も行われます。アート作品に照らされた平塚地下道を歩きに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

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