Cruising with Analogs,Rediscovery Shonan

Vol.1 Surfskaters championの一人、菱沼直哉氏から見る湘南Underground

彼との出会いは2006年頃だったかな。※記憶あいまい
雑誌Fineと、確かSurf1stの掛け持ち取材で(今となっては掛け持ちはタブーだけど、当時は強気だった)
球面を1/4にぶった切った様なランプの上でド派手なアクションを狙っている時だった気がする。
実際にはその前の年に直哉くんの存在は知っていたのだけど。

ただでさえ、こけたらひとたまりもない高さのランプ。
コーピングの上をスミスでグラインドする彼はトレードマークの
ハットを外して僕に笑った。(気がしたw)
その時から僕は彼のファンになって、いつか彼の写真を撮らせて欲しいと神に願った。

記憶にあるその年は、茅ヶ崎ローカルでカリスマ的要素を揃えた若手の金尾レオが優勝し、歴代のチャンピオンや
Surfskaters主催の勝又さん、クロードさん、茅ヶ崎のレジェンドクリエイター達を交えて福島~仙台へと撮影トリップへ出かけた。
10代そこそこの頃から神的な存在として憧れていたSurfskatersのレジェンド達を撮影させてもらえると聞いて、前日から夜も眠れず
実際の旅では泥酔し、夜の記憶をなくしたものだった。
憧れのレジェンド達の遊び方はエネルギーと想像力に溢れ、興奮の連続だったんだよね。

しかし今思えばそこには直哉くんの姿はなかった。
僕自身の中で、今撮影しているチャンプ達は紛れもなく神であると同時に、ここにいるはずの直哉くんへのイメージもまた孤高の神へとなって行く。

思えば僕は憧れへの強い執着があるのかもしれない。
自身がなりたい人物像。特に憧れるスキルやライフスタイルを持つ人物に強く憧れる。
ファッションセンスやルックスも重要だ。

縁あって直哉くんとの再会は2015年の一時帰国の際に実った。
普通の人からすれば一緒に酒を交わしたり、波をシェアしたり、スケートでセッションする事がコミュニケーションの一つだけど、
僕にとってはレンズを通して彼を覗き見て、過ぎ去る時間を切り取る事がコミュニケーションの一つでもある。

ある日、藤沢にあるSawas食堂で直哉くんが主催するイベント、グラインドロッヂへのお誘いを頂いた。

Sawasではハラミのステーキをつまみに飲むビール。
傍では直哉くんがシルクスクリーンでT-shirtに生刷りをしている。
数百種類あるシルクスクリーンの中から好きなデザインをT-shirtに刷ってくれるとあって、大盛況だ。
フィルムを持ち出したこの日は直哉くんが善行にあるライブハウスに顔出しに行く言うので彼について行く事にした。

ここを降りるの?!って感じの床下にはまさしくアンダーグラウンドな世界、スケートランプが広がっている。
いかにも怪しい感じの空間にはペイントの匂いが充満し、今にもラリってしまいそうになりながらなるべく呼吸をしないように匂いの元を探った。

 

今年からニューヨークへ移住した湘南のロコで、アーティストの岡野 真人がここでペイント中だった。
日本を代表するアーティストの生のペイントを見れる機会なんてそうそうないだろう。
直哉くんは岡野 真人氏を誇り高く紹介してくれ、彼らの写真を撮らせてもらう事を許してもらった。

またある日は茅ヶ崎で直哉くんがまた例の生刷り会をしているという事で、昭和居酒屋ゆずさんへお邪魔した。
もう入れないでしょ!ってくらい満員御礼な店内では、知人も少ない僕にとって気まずさを感じながら一言直哉くんに
「来ました!」とアピールだけしようと潜入するつもりだった。

周りにいる怖そうなみなさんは茅ヶ崎サーフィン界のドンばかり。
ぎゅーぎゅー詰めの店内でぶつかり合う肩に気を配っていると逆に相手が笑顔で話しかけてくれる。
レトロな店内には昔僕らが大切にしていた「温かさ」までも充満していた。
良い感じに生刷りが盛り上がってる中、直哉くんが一人一人こちらの茅ヶ崎の先輩達を紹介してくれた。
一杯飲んで帰るつもりがイベントも終了し、自転車で帰宅する時間となった。

夜の海風を感じながら漕ぐ自転車なんて、なん年ぶりだろうか。
某雑誌の編集長T氏が言った。自転車が似合う街。

車では足早すぎて気づかずに通り過ぎてしまう景色や心地よい風に、この地に住んで初めて気がついた。
湘南探検もといクルージングに益々はまりそうだ。

続く?

Photo/Text by Kuni Takanami
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