安全で堂々と食事が楽しめる場所を。新メニュー“ウイルス対策フルコース”とは? ~牛タン専門店「佐助」

まだまだ油断のならない新型コロナウイルス。そんな状況のなか、アイデアを振り絞り前向きに乗り越えようとするお店も多く出てきています。今回ご紹介するのは、20種以上の牛たん料理をはじめ、新鮮な地野菜や体に優しい素材を使った料理が自慢の「牛たん 佐助」。お店再開のために、店長の川口さんが行った“ちょっと変わった”コロナ対策とはいかなるものなのでしょうか。

皆が求めているのは、罪悪感を感じることもなく、堂々と居られる場所

こちらのお店も今回のコロナ騒動により大きな影響を受けました。しかし「しばらくは自粛の方向で…」「店の営業は行わず、テイクアウトで料理を提供して…」とならないのが川口さん流。

「誰もが“自粛”による閉塞感のなか、息苦しい思いをしています。そうした状況の中、皆が求めているのは、家から出て外で日常を忘れて楽しみたいということ。罪悪感を感じることもなく、堂々と居られる場所が必要だと思うのです」。

  • 店長の川口さん

新メニュー「ウイルス対策フルコース」が登場!

川口さんは、この休業を利用して通常営業ではなかなか難しいお店の改装工事を行い、よりいっそう徹底したウイルス対策に取り組みます。入店前の消毒やテーブルの除菌はもちろん、炉端居酒屋スタイルのコの字型になった客席カウンターをベニヤ板で仕切って、個室空間に改造。極力ほかのお客さん同士が触れ合わないよう配慮するなど、「そこまでやるか」というほどの徹底ぶり。

さらに、数々の除菌対策を計10の料理に見立てた新たなコースメニュー「ウイルス対策フルコース」を、お客様全員に提供することにしました。その内容は「入店3種/手指アルコール定番まぶし、消毒荒れ手指・無添加ジェルでやさしく和えて、ドアノブの抗菌抗ウイルス素材包み」にはじまり。「空気2種/店内常時次亜塩素酸のうっすら風味」「店員6種/手洗除菌励行と毎日体調管理の習慣漬け」など、思わずクスっと笑ってしまうネーミングばかり。料金は一切かからず、もちろん無料でのご提供です。

もちろん、これは川口店長なりのジョークでもあり、お店を営業するための本気の取り組みを示したもの。徹底したコロナ対策をしながら、それをシリアスに表現するのではなくユーモアとウィットに富んだカタチで表したものなのです。

  • カウンター席は、個々でベニヤの間仕切りを

  • 「ウイルス対策フルコース」のコース内容

お店とお客さんが築く、新たなコミュニケーション

お店の間仕切りであるベニヤ板には「お好きなメッセージをどうぞ」として、伝言板のように活用。そこには訪れたお客さんのコロナに前向きなお店への感謝のメッセージが描かれており、通常のようなお店とお客さん、そしてお客さん同士の交流ができなくても、また新たな違った形でのコミュニケーションが可能となったのです。

  • 間仕切りにはイラストともにメッセージも

清潔な空間だからこそ、“あえて閉じる”という選択

さらにこうした数々の対策の中、こちらのお店ならではのウイルス対策が“お店の扉を閉めている”こと。多くの飲食店は扉を開けて新鮮な空気を取り入れるように努めますが、こちらではその逆の方法をとっているのです。それは「徹底した除菌対策、空気環境を店内につくっているので、お店の中の方がかえって安全」という考え方から。それだけ徹底的な対策を行っているという自負と自信が、そこにはあるのです。

実際に再開後に来店されたお客さんも「これだけ対策してくれたら安心だね」と、家族で来店される方も多いのだとか。

  • ランチの一番人気の「牛たん焼き御膳(並)」

  • 新鮮な新鮮な地野菜も大人気

姉妹店の立ち飲み「立呑食 ふじすけ」も徹底対策済み

さらに「佐助」のセカンドブランドとして経営する立ち飲み屋「立呑食 ふじすけ」でも、早くからウイルス対策に着手。立ち飲みカウンターは、透明なビニールで一席ずつ間仕切りして個々の立ち飲みスペースを確保。また、以前はカウンター越しに行っていた料理の提供やお会計も、新たに設けた受け渡し口からというスタイルに変えたのです。

さまざまな立ち飲み屋さんがコロナの影響の中でも営業していますが、こうした間仕切りスタイルは私が知るのはこのお店限り。「牛たん 佐助」と同様、全国各地の焼酎や日本酒など川口さんこだわりのお酒がずらりと並ぶ店内では、常連さんたちは互いに距離を保ちつつ、透明なビニールの仕切り越しに旨いお酒をたしなみ、束の間の憩いのひとときを楽しんでいます。

  • ビニールで間仕切りした、立ち飲み屋「ふじすけ」

  • 一番人気の煮込み

コロナ対策と進化の過程を、お客さんと一緒に楽しみたい

「これからもコロナ対策として、さまざまな手を打っていくと思います。ただ、その時その時にできるベストを尽くしたい。そしてこのコロナ対策の進化の過程を、お客さんと一緒に笑って楽しんでいきたいですね」(川口さん)

新型コロナウイルス感染症については、もちろん十分に気を付けなければなりません。しかし、「畏れる」あまり、必要以上に過剰反応し、意識も行動もネガティブになりがちです。そんんな時だからこそ知恵とアイデア、そしてポジティブな気持ちでこの恐怖に立ち向かうことも必要なのではないでしょうか。川口さんの勇気ある試みを知り、これからも応援させていただきたいと強く感じました。

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