障がい児のサーフィンスクールから就労支援まで!「Ocean’s Love」~海から陸へのノーマライゼーションの社会づくり~

サーフィンというスポーツや海での体験を通じて、障がいのある子どもたちの“笑顔”と“未来”をつくりたい。そんな想いから2012年11月に「認定特定非営利活動法人 Ocean’s Love」を設立したのは、プロサーファーのアンジェラ・磨紀・バーノンさん。

茅ヶ崎を拠点とし、全国各地で開催する知的・発達障がい児(小学1年生〜高校3年生)を対象としたサーフィンスクールは、毎年抽選になるほどの人気ぶり。就労支援や障がいについての勉強会など誰もが暮らしやすい社会の実現に向けて活動を続け、日本財団主催の「HEROs AWARD 2017」(※)を受賞しました。

※社会貢献に取り組むアスリートや団体を見つけ、讃え、支えていく活動

「一人の人間として、プロサーファーとしてできることはこれだ!」

障がいを持つお兄さまがいる磨紀さんは、以前から「自分に何かできることはないか」と思っていたそうです。ハワイで自閉症の子どもたちのためのサーフィンスクールに出会い、ボランティアとして参加した磨紀さん。最初は下を向いていた子どもたちが波に乗ることで満面の笑顔になり、「もう1回! もう1回!」と大興奮。そんな輝く子どもたちの笑顔を見て、サーフィンと海がこれほどまでに人の心を動かす力があることに感動したそうです。

「私が一人の人間として、プロサーファーとしてするべきことはこれだ!」と心を大きく揺さぶられた磨紀さんは、日本で障がい児のためのサーフィンスクールを開始。「たくさんの子どもたちにサーフィンや海の素晴らしさを知ってほしい。また、一人でも多くの人に障がいを持っている方への理解を深めていただき、障がいのある方々にとって住みやすい社会になってほしい。」と言います。

子どもたちの無限の可能性を引き出す「就労支援プロジェクト」

今年からOcean’s Loveが特に力を入れているのが障がいのある子どもたちの「就労支援プロジェクト」。「子どもたちの無限の可能性を引き出したい」という想いから、さまざまなサポーター企業や団体、ボランティアの協力のもと、『おしごと体験会』を開催しています。これまでに、「GAP」や「ALOHA TABLE」で準備や接客などのお手伝いをしたそうです。

今回、筆者が伺ったのはラスカ茅ヶ崎で行われた「アロママッサージ体験」。千葉や川崎、座間などさまざまな場所から子どもたち(13〜21歳)が集まり、アロママッサージの施術や接客マニュアルを学びました。近々行われるイベントに向けて、また将来的には企業などでも働けるようにと、スキルを磨く子どもたちの真剣なまなざしが印象的でした。

楽しい!できた!共に学び、自己肯定感を高め合う。

終始、優しくおだやかな雰囲気に包まれた会場では、さまざまな障がいを持った子どもたちが共に学び、時には冗談を言って笑い合う場面も度々見られました。お互いにお客さんの役をやってみたり、雑談を楽しんだり。和気あいあいとした雰囲気の中で、友だち同士の絆も深まっているように感じました。

子どもたち一人ひとりのペースに合わせ、懇切丁寧な指導をするのはボランティアとして参加したアロマセラピストの皆さん(以前ご紹介した「人とわんにゃんのアロマ&ハーブ Elpis」主宰の木村祐子さんも参加)。目を合わせ、手を取りながら、根気良くスキルを伝授する中で、「すぐにでも施術デビューができそう!」と期待できる子も多く誕生していました!

共に学び、絆を深めながら「楽しい!」「できた!」と子どもたちの自己肯定感が高まる様子に、ただただ感動した筆者。こういった就労支援では、保護者の方が知らないようなその子の強味や長所が引き出されることが多々あるそうです。(子どもたちの中には保育園に就職したり、サポーター企業のアルバイトに採用された子もいるのだとか!)

「親子で外に出ていく機会が多くなり、笑顔が増えました!」「ボランティアの方がたくさん褒めてくれるので、とても楽しそうです!」「子どもの興味や可能性を広げてくれて感謝しかありません!」など、保護者の方々からは喜びの声が届いています。

障がいのある子どもたちの“笑顔”と“未来”を。

「Ocean’s Loveの活動は、今年14年目を迎えます。」と話してくれたのは、Ocean’s Love理事長の鈴木薫さん。プロボディボーダーとして全国でボディボードスクールを開催してきた薫さんは、磨紀さんと共に障がいを持つ子どもたちの“笑顔”と“未来”をつくるため、多くの企業や団体、1000人を超えるボランティアの皆さんと活動を続けています。

  • Ocean's Love理事長の鈴木薫さん

「日々、子どもたちから学ぶことがたくさんあります。驚くべきは、障がいを持つ子たちの“優しさ”です。自分がもらった、たった一つのお菓子を率先してくれようとして、こちらが遠慮をするとそれを半分に割ってでも分けてくれようとするんです。そういった“天使の言葉や行動”が本当に素晴らしい。障がいがある子もない子も、平等に豊かな人生を送れるような社会づくりに取り組んでいきたい。」

海から陸へ、そして人々の心の中にノーマライゼーションを。優しさが社会を変える、そう確信できた一日でした。Ocean’s Loveには、スクール生、ボランティア、協賛、寄付などさまざまな関わり方ができます。サーフィンや海での体験、就労支援を通じて、障がいのある子どもたちの“笑顔”と“未来”を一緒に創造しませんか。

  • Ocean's Love理事長の鈴木薫さん、アロマセラピストの木村祐子さん・川口美香さん・安原紘子さん

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