あの路地を曲がれば。〜雑誌編集者の鵠沼ライフ〜

祭りごと

今年はいつになく頻繁に「お祭り」に出かけました。8〜9月は湘南でもお祭りが多く、仕事終わりにちらっと足を運ぶだけでも、それぞれ特色のある空気感に触れることができます。

お盆明けには、鵠沼海岸商店街夜祭り。商店街の各店舗の前に、昔懐かしい射的や輪投げといった子ども向けの露店から、焼きそば、たこ焼き、かき氷、わたあめ、チョコバナナなど定番の出店が並びます。商店街はよく利用するけれど、いつも自転車で目的の店に行くだけなので、食べ歩きをしながらブラブラ歩くのは新鮮でした。

続いて江ノ電・鵠沼駅前の鵠沼賀来神社のお祭り。普段は静かで小さな神社だけれども、この日ばかりは歩くことができないくらいの人、人、人! 近所にこんなに子どもがいたのだな〜と驚くほど、特に子どもたちで賑わっていました。出店は地元で協力して出し合っているそうで、焼き鳥100円とか焼きそば200円とか、価格が良心的なのも微笑ましいです。お神輿の担ぎ手は若者も多く、高齢者ばかりと思っていた地域の明るい未来をこっそり感じてしまいました。

8月最終週は、片瀬諏訪神社の例大祭です。友人がお神輿を担ぐというので、初めて訪れてびっくり。立派な神社に、多数の出店、地元の友達も勢揃いなのでした。見どころは、片瀬の5地域の山車のパレード。太鼓や笛の奏者を乗せながら、何箇所かのポイントで、山車がものすごいスピードで遊具のように回されるのは圧巻です。鳴り止むことないお囃子は、夏になるといつも遠くから家まで聞こえてきた太鼓のリズム。ああ、ずっとこの日のために練習していたのだなぁと、今更ながら合点がいきました。例大祭当日は、早朝4時から片瀬東浜の海に神輿ごと入り身を清める浜降式からスタートするとのこと。参加者にとっては、一年に一度の特別な日なのですね。

片瀬諏訪神社は、奈良時代に長野県の諏訪大社の御分霊として創立。全国各地に「諏訪神社」はあるけれど、上社・下社を備えているのは長野県の諏訪大社と片瀬だけ。片瀬は、大昔、水面の覆われた大きな沼湖で、その姿が諏訪湖に似ていたという由来があるそうです。

最後に9月の龍口寺法難会。こちらも長い歴史をもつ伝統のお祭りです。特に毎年9月12日の夜は、祭り期間のハイライト。大きいものでは30kgもあるという纏(まとい)を振りかざす人、立派な万灯(まんとう、1枚目の写真)、ぼたもち撒き、各地区のお囃子と、見どころ満載、深夜まで続きます。地元サーファーも大集合するこのお祭り。「これが終わると秋だね〜」と缶ビール片手に言い合う夏の終わりの風物詩なのです。

お祭りは見るのも面白いけれど、参加したら楽しんだろうなぁと、改めて感じた私。生まれ育った東京世田谷では、縁日に行く程度で、お神輿を担いだ経験もありませんでした。やってみたいなぁと思っていたら、たまたまご縁があり、吉祥寺のお祭りに参加させていただくことに!

吉祥寺のお祭りは、駅周辺を何台ものお神輿が練り歩く、大規模なものでギャラリーもぎっしり。借り物の股引に法被を身につけ、帯を締め、足袋を履き、手ぬぐいを頭に巻いて。すっかり祭り気分です。お神輿の担ぎ方も見よう見まねで、前後の人の足は踏んでしまうし、肩は痛いし、熱気で汗だく、もみくちゃ! けれども笛の音や掛け声に合わせ、リズムに乗っているうちに、だんだん細かいことは気にならず、全身に血がみなぎるような感覚になってゆくのです。休憩のたびに、豪華な振る舞いが用意されていたり、担ぎ手と町内会の礼儀正しいやり取りなども垣間見えて、日本人ならではの素晴らしい伝統を感じました。

お祭りとは、普段は疎遠かもしれない地域の人たちが一同に集まり、お互いの健康を祈ったり、地域の発展を語り合ったり、親から子へ文化を継承していく意義深い場なのだと思いました。最後にお知らせ、10月20〜21日には鵠沼公民館まつり! 登録有形文化財となった我が家の展示(※)も予定しています。ぜひ足を運んでみてください。

※公民館2階でパネルでの展示になります。「尾日向家住宅洋館・和館」の一般公開ではありませんので、ご注意ください

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