地域に愛され共に育つ。地域に溶け込む街の定食屋「いろどり食堂」
ハンバーガーにカレーや牛丼、ラーメンなど、外食では手軽に済ませられる食事を選ぶことも多いですが、やはり食の基本はしっかりとした栄養バランス。メインのおかずに野菜や副菜、そして汁物といった定番の定食こそ、カラダがよろこぶメニューではないでしょうか? そんな昔ながらの定食をメインとしながら、今の時代に即した食堂が茅ヶ崎にオープンしました。
ラーメン屋さんから定食屋さんへの華麗なる転身
扉を開けると、「どうも、ご無沙汰しております」と笑顔で出迎えてくれたのが、店主の早川徹さんと奥様の彩可さん。以前、藤沢市の本鵠沼駅近くで営業をしていたラーメン屋「HACHIKIN」を取材させていただいた時、料理長として働いていたのが徹さんでした。
久しぶりの再会を喜びつつ、早速メニューに目を通します。「麻婆豆腐定食」や「豚のカツ煮定食」「アジフライ定食」など定番の定食が並ぶなか、一番人気だという「からあげ定食」をいただくことにしました。
夫婦で二人三脚の徹さんと彩可さん
何通りもの味を楽しめる「からあげ定食」
提供された料理見て、思わず「おおっ」との声をあげてしまいます。こんがりと狐色で微かに焦げのある絶妙な揚げ具合のからあげ、レタス、玉ねぎ、オクラ、ブロッコリー、素揚げされたかぼちゃと彩りと栄養バランスが考えられたサラダ、塩もみした白滝をゆがいてタラコと合わせた副菜、箸休めにもなるお新香盛り、そして出汁が十分に効いた味噌汁と白いご飯。一枚のお盆に色とりどりの料理が並べられ、まずは視覚から楽しませてくれます。
そして、味覚における楽しさの提供にもこだわりが光ります。メインのからあげには、ケイジャンスパイスやオーロラソースが添えられており、さまざまな味わいが楽しめるようになっているのです。
まずは、何もつけずにからあげをそのまま一口。「ザクッ」と気持ちの良い歯ざわり、噛むほどに鶏肉の旨味が広がります。次にケイジャンスパイスを一振りして食べてみると、スパイスの香りと刺激がアクセントとなり、さらに食欲を引き立てます。さらにちょい辛仕上げのオーロラソースにつけると、まろやかさとコクをまとい、先ほどとは別の一品に。同じ唐揚げでも食べ方次第で飽きずに何通りもの味を楽しめ、自然と心が躍ります。
彩りも鮮やかなからあげ定食
彩可さんの親戚が作った梅を使った「梅ジュース」
キレイな“彩り”が店名の由来?
「基本に則りシンプルに、そして丁寧に調理することを心がけています。ただ、料理の見た目へのはこだわりはありますね」と徹さん。店名にある「いろどり」は彩可さんの名前に由来するそうですが、料理の“美しい彩り” という意味合いもあるのかもしれません。
「あるカップルのお客様で、男性の方はガッツリとしっかり料理を食べたい、女性の方は豊富な野菜など、栄養や見た目を大切にした料理を食べたいということから、なかなか二人が共に満足できるお店がなかったそうですが、『この店なら二人とも大満足』とのことで、よくいらしてくれるんです」と彩可さん。
見るだけで食欲が出てくる、抜群のビジュアル
地域に溶け込むには、地域に住むことから
埼玉の洋食屋を皮切りに飲食業界に携わり、趣味のサーフィンがしたいこともあって藤沢のラーメン屋へ。そして先述した「HACHIKIN」を経て独立した徹さんですが、このお店の開店は“奥様である彩可さんの強力な後押しがあったからこそ”だといいます。
「いずれは自分の店を持ちたいと思っていたものの、飲食店の経営の難しさも知っていたため、独立のふんぎりがついてませんでした」と徹さん。しかし彩可さんは徹さんに内緒で物件をコツコツと探し、現在のお店の物件を見つけたのだそう。
しかし彩可さんの情熱に押され、ついに独立を決意。「形式的には私が代表ですが、実際、私は料理をつくるだけで、お店をすべて仕切っているのは妻。ちなみに店長は2歳の息子です」と徹さんは思わず苦笑いをこぼします。
お店をとり仕切る彩可さん(実質代表?)
「今はサーフィンに行ける時間も持てています」と徹さん
数多くの常連さんに支えられて
お子様を連れてご家族で来店されたり、リモートワークをされている方が社食のように利用されたり、さらにはまるで自宅のダイニングのようにほぼ毎日朝食を食べに訪れたり、オープンして1年が経たないにも関わらず、老若男女、多くの常連さんがお店を支えてくれているといいます。
「まだ小さい息子(店長)との時間を大切にしたい」とのことから、営業時間は9:00~16:00まで。「いかに地域に愛されるか」を考える姿勢があるからこそ、そうした愛情がお店の優しい雰囲気を作り出し、自然と地域の方たちが足を運んでしまうのかもしれません。
店舗デザイン設計は、数々の有名飲食店を手掛けるアリメント(茅ヶ崎市)に依頼
人目を気にせずにゆっくりくつろげる、落ち着きのある店内
コスパ抜群のワンコイン定食も大人気
そんな常連さんの声からできたメニューがワンコイン定食。当初は9:00~11:00までの朝食メニューでしたが、その評判の良さから終日オーダー可能に。お客様の中にはワンコイン定食に加えて「サバの文化干し」などの日替わりのおかずを追加注文する方も多いそう。その日の気分でさまざまなおかずを組み合わせられるので、毎日来ても飽きずに楽しめます。さらに季節の限定メニューも用意。取材時は「鶏と鰹出汁の素麺定食」を提供していました。
このボリュームでたった500円!
想像以上に好評だった素麺定食
「とにかく地域の皆さんが喜んでくれ、同じく地域の住民となった私たちも楽しく働くことができれば、それにこしたことはないですね」と徹さん。まるで自宅のような気安さでくつろげ、毎日通っても飽きない食堂がすぐ近くにある。そして地域住民がその店を育て、さらに店の魅力が増していく。地域に密着し、人々に愛される理想的なお店の姿を見た気がしました。
いろどり食堂
神奈川県茅ヶ崎市共恵1-13-23
[営業時間]
9:00~16:00(L.O.15:30)
[定休日]
日曜日、隔週月曜日
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。
[ウェブサイト]
HP:https://irodorisyokudo.crayonsite.info/
Instagram:irodori_shokudo
※記事内で紹介している季節限定メニューについては随時変更となるため、店舗instagramでお確かめください。
ライター情報
ユゲヒロシ
鵠沼海岸生まれ、鵠沼海岸育ち。バックパッカーとして世界を旅した後、広告制作会社に。2003年よりフリーランスのライター&ディレクターに。趣味はキャンプ、ロードバイクなど。B・C級グルメ、お酒が大好き。
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