単なる貸し農園だと思ったら大間違い。そこは作物も、そしてコミュニケーションも育む場所でした。

「湘南エリアでおすすめの貸し農園ありませんか?」とインスタグラム経由で編集部にメッセージが。そうお尋ねとあらば、居ても立ってもいられないのが編集部Kの性分。で、早速、見つけてきました。

そこは茅ヶ崎の丘陵地にある「リベンデル」。オーナーの熊澤さんにご案内いただくと、そこはこれまでの貸し農園の概念を楽しく裏切ってくれる施設でした。

有機的に結びつく4つのエリア

リベンデルは大きく4つのエリアに分かれています。ひとつは「農場」。貸し農園を中心としたスペースです。農園のレンタル料は1畳6万円/年。登録者ほか2名まで同伴利用可能で、農具の貸し出しや植物性堆肥、農業指導も行ってくれます。しかも、後ほど紹介する付帯施設の利用料も含まれているというから、コストパフォーマンスはとても高いと思います。

農場にはフリースペースとして、小麦や小松菜やミョウガなどが植えられ、周囲にはビワや柿なども育てられています。これらも会員なら自由に収穫でき ます。そして、併設のキッチンで穫れたての食材を新鮮なまま調理できるのもうれしいですね。

熊澤さんとフリースペースを散策しながら、「これ食べられますか?」なんて会話を楽しみながら、季節の農作物たちと触れ合えられるのもここの魅力。なお、中央に設けられた池には農場に降った雨水や道具などを洗った水が流れ込む仕組み。ポンプを使用して循環させ、水辺の豊かな環境を作り出しています。

ちなみに、化学肥料や農薬はここでは使用できません。「野菜は工業製品ではありません。簡単にできないところに意味があると思うんです。まるで、子供を育てるように、作物自体が持っている感覚を大事にしてほしいからです」。

また、ここで培った農業のノウハウを、本格的な田舎暮らしに活用している方も増えているそうです。

教室やワークショップが開催できる「イベントスタジオ」。

道路を隔てた向かい側には「イベントスタジオ」を設置。古民家をリノベーションした広々としたスペースで、時間単位でレンタルできます。リフレクソロジーや子供向けの英会話教室、フラやヨガのワークショップなどが行われています。

このスタジオはメンバーに入会していなくても利用OK。自分の知識やセンスを活かして、何かを始めたいと思っている方にぴったりです。しかも、開催の告知 は施設のホームページやFacebookで行ってくれるのでリスクなくスタートできます。更衣室やシャワールームも完備。

ワインバーが満月の夜のみ開店。焚き火を囲んでの人気イベント。

「グリーンコミュニティ」は会員たちの交流スペース。元々あった、かまどや井戸が残され、もちろん実際にご飯を炊くこともできます。また、囲炉裏や火鉢が置かれた部屋もあり、お茶を飲んだり、読書したり、仕事をしたりとここも自由に使用可能。施設側からイベントを企画するのではなく、会員同士の自然発生的なコミュニティーの形成が目的なんだとか。

さらにお隣には「果樹園」が設けられ、中央の広場では毎月1回、満月の夜だけワインバーがオープン。焚き火を囲みながら飲む一杯は格別です!

きっかけは、「パーマカルチャー」との出会い。

熊澤さんがここを開くきっかけとなったのは、サラリーマン生活をしながら、とあるNPO団体を通じてパーマカルチャー(持続可能な環境を目指す農業システム)に出会ったこと。その団体のメンバーとして2005年の愛知万博に参加。食や植物、 水、食などの循環をテーマにした体験施設を手がけたそうです。

この経験を活かして、茅ヶ崎でも展開したいと思い、祖父母が所有していたこの場所を活用。2011年4月、オープンに漕ぎ着けました。以来、農業を中心に据えたコミュニティーを育む施設として湘南エリアに、着実に根付いています。

さて、単なる「貸し農園探し」から始まったこの記事。まさか、こんなにも奥深い取材になるとは! あなたもこの体験をぜひ!

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