美容室はリアルフェイスブックの場。美容室「holon」
2011.3.11東日本大震災は人々に様々なメッセージを与えました。これから先の人生について考えさせられた人、また、暮らし方を変えた人たちもいます。今回はその1人、ライフスタイルを一変させた美容室オーナー緑川氏にお話を伺いました。彼はかつて、28歳という若さで東京原宿で美容室を経営していました。そんな彼が、なぜ湘南・辻堂への移住・開業を決意したのでしょう?
生き方をかえるきっかけとは?
「90年代、美容ブームに乗ってお店も軌道に乗っていたけど、これって自分の実力なの?って疑問が常にあった。」
当時、美容業界自体も方向転換の時期に差し掛かっていました。宣伝さえすれば、お客様が増えて儲かるというような図式が顕著に見られ始めました。本当の実力って?そんな思いがふつうつと沸いていました。
「そのくらいの時期から、地に足つけて生活したいという思いがあった。震災が起きて、後押しされて踏み出したような気がする。」
暮らし方・働き方等ライフスタイル全般に対しての抱いていた疑問を打ち消す行動に出ます。
移住〜開業
20代から趣味だったサーフィンや、サンフランシスコに行った時に魅力的に見えたビーチカルチャーの影響で移住先は辻堂を選択。しばらくの間は自宅でヘアカットを行なっていました。家族や友人たちの口コミのおかげで評判は上々。お店を開業しても良さそうな手応えを感じ、現在の「holon」をオープンしました。
実際お店をオープンしたところ、来てくれたお客様は原宿時代の顧客様ばかり。遠路はるばる緑川氏にスタイリングをしてもらうためやってきてくれます。とても光栄なことだと思う反面、地元の人たちが少ないことに危機感を覚えます。
しかし、派手な宣伝をすることなくお客さんは徐々に増えてきてくれました。家族や友人が気に入ってくれてお客様がつながっていくこともありました。お店の外観がガラス張りということも功を奏し「なんのおみせだろう?」と道行く人たちが興味を持ってくれたこともありました。
お店周辺は戸建ての多い住宅街。 元々、八百屋さんだったお店を改装して「カッコイイ」空間を作り上げました。音楽や書籍など自身のこだわりでセレクトされたものだけ置かれています。
美容師としての新しい発見
「本当に気に入ってもらえれば、遠くても来てくれるんだ!!」お客様が美容室に求めるものは、技術やスピードだけじゃなんだと確信をしました。居心地のいい空間や時間も全部パッケージングされて価値になっていたのではないか ?ゆったりと会話を楽しみながら心地いい空間で過ごすことに価値を見出してくれる。それこそが、原宿では出来なかったサービスなんだと確信しました。
ライフスタイルをシェアできる仲間をつくる
辻堂にholonを開業して6年半が経ち、地域のお客様も少しづつ定着してきてくれました。時間や流行に追われていた原宿時代に比べて、自分自身を見つめる時間も持てるようになりました。自身のライフスタイルを振り返り「ライフスタイルを築き上げていくことってカッコイイんだ」と思えるようになってきました。
お客様の職種も多様で、コミュニケーションを取ることで多くのことを学びました。その中でも興味を持ったのがアメリカオレゴン州ポートランドのまちづくりです。自身でも興味があり色々と調べてみました。地域をみんなで作り上げることはすごく大げさなことじゃなくて、身の回りから始められるかもしれない。自分のライフスタイルや住んでいる地域に誇りを持てることってカッコイイ。今は仲間とライフスタイルを共有したいと思っています。
地域に還元できることとは?リアルフェイスブックをつくりたい!!
美容師の醍醐味は、様々なライフスタイルの人たちと会話ができること。お客様のスタイリングをしながら職業や趣味などの会話が広がります。そこから、新たな価値観がうまれます。様々な考え方を知ることで自分自身の学びになり、大袈裟かもしれないけど「財産」にもなります。今、その財産を地域に還元したいと思い始めています。イメージはリアルフェイスブック。いいね!を押すのは価値観の共有。それをリアルな空間を活用して「まちをよくする」につなげられないか?自分ができること、したいことを少しづつはじめています。
ガレージを利用してグルテンフリーのパンを販売しています。パンを焼いているのは、食材廃棄問題をどう改善すべきかなど社会問題にめをむけているフレンチシェフ。また定休日は無償でお店を提供。そこではヨガスクールが開催されています。
ライフスタイルにこだわりを持ち、地域に還元したいという思想を持った人たちが、緑川氏の周りに集まってきます。
彼は今日もお客様の心に耳を傾け、自分ができることを模索しています。
湘南で暮らす人々
都心から電車で1時間と、遠いようで実は近くにある海辺の街。豊かな自然に囲まれて過ごす人々の表情もまた、おなじように豊かです。
本コラム『湘南で暮らす人々』では、この地で生活を営む人々にフォーカス。「やっぱりこの街が好きだ」というみなさん、そして「いつかはここで……」と憧れを持つみなさんと一緒に、多彩なライフスタイルを覗いていきたいと思います。
———––
holon
神奈川県茅ヶ崎市赤松町13-56
[営業時間]
10:00~だいたい19:00~21:00位
[定休日]
火曜と不定期に時々
[ウェブサイト]
http://holonhair.com/
[お問い合わせ]
TEL: 0467-84-8004
Mail:info@holonhair.com
ライター情報
Sawako
以前暮らしていた茅ヶ崎では、素敵な人たちとの出会いがありました。その方々をつないでいきながらご紹介していきたいと思います。家族はアパレル関係で仕事する旦那さんと、小学生の女の子、ミニチュアダックス・ジャックラッセルテリアです。映画や音楽が大好きです。
まだデータがありません。
まだデータがありません。
特集・コラム
注目の特集やライターによるコラムなど