人々賑わう由比ガ浜通りに、凛とした人気カレー店「woof curry」あり。

江ノ電・長谷駅から少し歩いたところ、由比ガ浜通りに面したシンプルな佇まいの「woof curry(ウーフ・カレー)」。多くの人々に愛されるカレーの名店で、ホリデーシーズンには国内外からの観光客がお店の外に列を作り、オフピークの季節には地元の常連さんが訪れます。

シンプルかつモダンなカラーリングの内装に、シックな家具のあたたかみが広がる店内。窓の外では人々が由比ガ浜通りを行き交い、カウンターの向こうにはオーナーシェフ・引地さんの大きな背中が。1階席でカレーを待つ間のひとときに、どこか安らぎを覚える人も少なくないでしょう。

階段を上れば、はじめて来たのに帰ってきたかのような雰囲気を醸し出す素敵な空間が広がっています。

さて、今回は「スペシャルカレー」をいただきました。野菜とゆで卵を添えて、チキンカレーをセレクト。チキンの柔らかさとスパイシーなルー、そして彩り豊かな大地の恵みが豊かなハーモニーを奏でる一品です。お好みで福神漬けやらっきょうもどうぞ。

ルーツは吉祥寺の名店と鎌倉・大町のカフェ。

大学進学をきっかけに地元・宮城から上京したオーナーシェフの引地さん。教員を志して勉学に励む傍ら、東京・吉祥寺の名店「まめ蔵」でアルバイトをしていました。この経験から、woof curryの味は「まめ蔵」のものをベースにしつつ、マイナーチェンジを重ねてオリジナリティを出しています。

鎌倉にお店を構えようと思ったきっかけは、引地さんが通っていた「杉山台工房」というカフェ。かつて鎌倉・大町にあった自家焙煎のコーヒー屋さんは近年のコーヒーブームの走りともいわれ、シックな佇まいが人気を博していました。

「杉山台工房の辺りには、お店を中心としたコミュニティが出来上がっていました。そして、僕自身も通っていくうちに“こんなお店を持ちたいな”と思ったんです」と、引地さんは当時の様子を振り返ります。

由比ガ浜通りにwoof curryがオープンした2008年、引地さんも湘南へと移住してきました。しばしば杉山台工房を訪れていたとはいえ、実際に住んで、お店を持ってみて気がついたことは多くあるといいます。

「鎌倉に関して言えば、いろいろなジャンルの集まりがありますよね。でも互いに認めあうというか、適度な距離感で節度ある付き合いをしているところがいいなと思います」

また、湘南とひと口に言ってもその幅は広いともいいます。鎌倉のようなせわしない日常風景もあれば、郊外らしいローカルな空気感や人々の落ち着き、そして街を囲む自然……など、引地さんの故郷・宮城に似た部分もあるのだとか。

そんな湘南・鎌倉について、引地さんが好きなポイントは「厳かさ」。普段は人々で溢れかえる鎌倉の街も、ひとたびオフピークとなれば辺りは静まり、凛とした雰囲気さえ感じられるのだそう。そして、woof curryもそうした街のムードに馴染んでいます。

「うちのお店の向かいの路地の先に甘縄神明神社という由緒ある神社があるんですが、地元の人が散歩中にその路地を通りかかると、いったん立ち止まって手を合わせていくんです。そういう風景をこのカウンターと窓越しに見ていて、この街の厳かさがだんだん好きになっていきました」

湘南・鎌倉の日常に溶け込む厳かさと賑やかさ。その両方を味わうことができるwoof curryへ、お近くにお越しの際はぜひ立ち寄ってみてください。

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